御蔭

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11/7/2024, 9:33:05 AM

淑やかに雨が降る。風に乗って降り注ぐ雫は霧に変わり始めた。
街の灯りも遠ざかり、輪郭が滲む。夜闇も相まって、己の足元すら見えるかも怪しい。だが、吊り下げた灯りと、繋いだ手の感触は確かなもの。

『熱捲く雨は』
柔らかい雨

11/6/2024, 10:00:28 AM

火の粉が舞い上がる。
先の見えない夜闇の中で、彼女が持つ火灯りだけが頼りだ。


『夜を凌ぐ篝火』
一筋の光

11/4/2024, 9:59:05 AM

「出来たよ」
その一言に目を開け、鏡を見る。そこには自分とは思えない顔が映っていた。粧って化ける、故に。
「魔法使い」は「魔女」生まれ変わる。強さを示すため、弱さを隠すため、あるいは決意の表れ。
行く先は険しいものだ。それでも、茨の道を突き進み、真の強さを掴み取らねば。


『決別』
鏡の中の自分

11/2/2024, 6:28:05 AM

「じゃあ、おばあちゃんは虹の向こうにいるんだね!」
ぴょんぴょんと跳ねて、虹に手を振る。娘に「ママも」と誘われたら、断れなかった。
夫が息子たちを連れて戻ってきたけど、タイミングが良くて思わず笑ってしまった。
「おばーちゃん!またねー!」
元気だな、なんて思っていたその時だった。


『アイリスの呼び声』
永遠に

10/24/2024, 9:46:10 AM

空母の甲板に男は立っていた。
先ほど離陸したばかりの機体は、水平線の向こう側に消えていく。
武力のない世界はきっと素晴らしいものだろう。だが、それはただの理想に過ぎない──彼女はいつもそう語っていた。
いつか死ぬ、だが今はその時ではない。
祖国の空を飛び立つ彼女に、男は敬礼で見送った。


『遠き青の果てより』
どこまでも続く青い空

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