ただ隣に寄り添うことが優しさ?
甘い判断をすることが優しさ?
あえて厳しく注意することが優しさ?
何も言わないことが優しさ?
誰かの為に身を粉にすることが優しさ?
一つの肉まんを半分こすることが優しさ?
突き放すことが優しさ?
落とし物を交番に届けることが優しさ?
……どれも正解だけど、人によって優しさの判断基準は違う。
真の優しさとはなんだろう。
考えれば考えるほどわからなくなる。
だから考えるよりも己の信じた優しさを突き進む。
私はそれしかできないから。
自分は夜型だと思っている。
夜になればなるほど元気になっていく。
でもミッドナイトの頃になってくると今度は眠くなってくる。
深夜が元気な人もいるだろうけど、まだ会えたことはない。
そんな人はどんな仕事をしているのだろうか。
せめて泥棒でないことを祈るばかりだが。
思い立ってバ◯サンをやってみた。
今この時期にやらなくても……と思うところは正直あるが、家具があんまりないこのタイミングが丁度いいと強く思ったため、決行。
ふふふ……これで奴らもしばらくは出てこれまい。と心の中でほくそ笑むけど、冬にやってもな……という後悔のようなものが時々顔を出す。
安心と不安が交互に来てる感じだ。
……まあ、あんまりにもこの後悔が続くようなら暖かくなってきた頃にもう一回やるつもりではいるけど。
というか確実にやるだろうな……
太陽を背にしてカメラの前に立つ。
そしてちょっとカッコつけたポーズをしてみる。
シャッター音が聞こえ、わくわくしながら撮影データを見てみたが、そこに映っていたのはよくわからない黒い塊だった。
……うーん。逆光で撮ったら簡単になんかエモい写真が出来ると思ったんだけど、案外難しいなあ。
よし、日没までまだちょっと時間あるし、もう一回撮るぞー!
「なあ、君。縁起の良い初夢といえば何かね?」
二人しかいない文芸部。一年の集大成に向けての小説を書いているところに先輩がヨガの立ち木のポーズをしながらそう訊いてきた。
ピンと真っ直ぐ伸びてブレない姿勢がまさに先輩を表している気がして、なんだかなあという気持ちになる。
そんなことやっている暇があるなら文芸部らしいことをしてほしいけど、今更そんなこと言っても無駄なので素直に言葉を返す。
「一富士二鷹三茄子……ですか?」
「そうだ。そこに四扇五煙草六座頭と続く。
君はそれらが出てくる初夢を見たことがあるかね?」
「ありませんけど」
私がそう答えると先輩はニヤッと勝ち誇ったような笑みを浮かべて、今度は英雄のポーズⅠをしながらこう言った。
「私は見たことがあるぞ。しかも茄子の夢だ」
「へー」
「もう少し良いリアクションをしてくれても良いのだが?
まあいい。こんな夢を見たんだ。一生懸命茄子の桂むきをして煮物にする夢をな」
「茄子の桂むき……ですか?」
「ああ。前日に茄子は食べてないしどうしてそんな夢を見たのか思い当たることもないのだが、起きた時はハッピーだったぞ。
現実でもやろうとは思ったが、さすがに危なくてやめたな」
「そりゃそうですよ。まあでも、初夢がそれだなんて凄いですね」
「そうだろうそうだろう!
だから富士山と鷹と扇と煙草と座頭の初夢を見てコンプリートしたい! 茄子の夢を見られたのだから他の夢も見られるはずだ!
さあ、君もぜひ応援してくれ」
いったいどう応援すればと思ったけど先輩のキラキラした屈託の無い笑顔を見て、まあちょっと神さまとかに祈るだったらしてもいいか……と思った。