旅を続けているとその地域の郷土料理とか言い伝えとか、僕たちの知らないものにたくさん出会う。
僕たちの生まれた村では考えられないような風習とかがあって、とても興味深いなあと思う。
目で見る風景も雄大だったり美麗だったりと、とてもすごいものばかりなんだけど、それでも未知と言うのにはちょっと弱い感じもする。
だから僕は新しい町や村に着いたらその土地ならではのことをそれとなく人に聞き込んだりする。
僕の片割れはそんなことをしても特に意味はないと言うけど、僕の好奇心は満たされる。
それに新しい知識が増えるのはとても楽しいし面白い。
物語に没頭するかのごとく、僕は僕の知らないものが大好きなんだと思う。
さあ今日も行こう。まだ見ぬ世界へ!
小学生の頃、仲良しの友達二人とよくつるんでいた。
だけど二年生になる前に二人とも引っ越して行った。
秘密基地とか作って楽しく遊んでいた。
その場所はどこにあるのかはもう思い出せない。
あの二人と最後に交わした会話も覚えていない。
最後の声はなんだったっけ?
かけがえのない友達だと当時は思ってたのに、今は何も思い出せないんだね。
寂しいとは思うけど、もはや二人に何の感情もわかないや。
時の流れというのか、それとも非情なだけか。
それを決めるのはあの二人だけだろうな。
大切な人がいなくなるのが怖くてわたしは一人でいるようになった。
もうあんな思いはしたくない。あんなに悲しむくらいなら最初からいないほうがマシ。
寂しくても一人で生きていける。
だけど、そんなわたしを放っとかないお人好しな人たちがいた。
わたしがどんなに怒っても、酷いことを言っても、いじわるをしても、その人たちは優しい目をしてわたしを仲間だと言ってくれた。
その度にわたしは泣きそうになったけど、グッと堪えた。泣くのなんて恥ずかしいしみっともないから。
……でもあの日、ついに我慢できなくなって彼らの前で大泣きしてしまった。
彼らはわたしが落ち着くまで抱きしめてくれた。
彼らが良い人なんてことはわかりきってる。わたしが信じきれなかっただけ。
彼らはわたしに大きな愛をくれた。
わたしは彼らみたいな愛を渡すことはまだできないけど、いつか彼らにも示してあげたい。
さしあたって小さな愛から渡そうと思うのだけど……
何をすればいいのかな?
町端のお花をあげるとか? それとも肩たたきとか?
愛を拒んでいたからどれくらいが丁度いいのかわからないや。
……まあ、じっくり考えてみようかな。焦らなくても彼らはいなくなったりしないのだから。
ぼんやりとスマホで見ていた動画が終わって、ごろりと寝返りを打つ。
窓から見えた空は抜けるくらいに青く、そこに一羽の鳥が横切って行った。
ああ、空はこんなにも自由なんだな。
そう思いながら体を起こす。
私も自由なのにどうして空は格別に自由だと思えるのかな。
そんな哲学じみた考えを抱いたけど、深く考えても今の私では答えにすら辿り着けない気がしてすぐに捨てた。
空は特別、空は偉大、空は無限大。
それでいいじゃない。
子供の頃はなりたいもの、やりたいことが多くあった。
でも今なりたいもの、やりたいものはその頃思いつきもしなかったものだ。
いつか某大型同人イベントでサークル主になること。
それが今の夢。
そんな私の子供の頃の夢はケーキ屋さんもしくはお花屋さん。
我ながらファンシーである。