春に恋するから春恋。
では夏は夏恋、秋は秋恋、冬は冬恋になるのだろう。
……こうして羅列すると人の名前みたいだなあと思うが、実際にいるのだろうか。
もしいたらとても素敵な名前だから誇っていいと伝えたい。
まあそれはさておき、恋は春に限らずいつでもしていいと思う。
春は恋の季節らしいが、恋をする瞬間というのは季節や時間を問わずに突然やってくるものだ。
人を好きになるのに理由なんていらないのだから。
私の将来はどうなっているのだろうとは思うが、未来のことはそれほど考えたくない。
私の未来図は白紙。
その方が驚きがあって楽しい……と思う。
ひらひらと桜の花びらたちが落ちてくる。
確かこれを地面に落ちる前に五枚掴んだら願いが叶うとか、叶わないとか。
ものは試しにやってみようとチャレンジしてみたけどこれが案外難しい。
まあ願掛けなんてこんなもんだ。と諦めたその瞬間、
ひとひらの花弁が目の前にひらりと落ちてきてそのまま地面に落ちた。
とっさに手を出したら掴めたかなあ。チャンスを逃してしまったかなあ。
とついタラレバを考えてしまうが過去を振り返ってもしょーがない。
むしろ私らしくていいじゃない。
そう、現状維持でいいのだ。
まだ見ぬ景色を目指して僕たちは旅をしている。
いろんなところに行って、いろんな人と出会っていたら、なぜかそこそこな有名人にもなってしまったけど僕たちの本質は旅人ということに変わりはない。
僕の片割れでもある姉は新しい風景を求めて常に探究心と好奇心をフル稼働させているから、一つの町に長い間留まるなんてことは絶対にしない。
僕にはそれほどの気概はないけど、姉のそういう姿勢はカッコいいなと思う。
……まあ、そのせいでほとんど野宿なのは考えものだけどね。
さて次はどこに行くんだろう?
目的地も道も決めるのは姉次第。
新しい風景もまだ見ぬ景色もその全てを姉と共に見てこの世界を知りつくしていこう。
君と僕が出会ったのはいつだったっけ。
出会った頃の君は人を寄せ付けない雰囲気を纏っていてたし、仮面にフードも被ってたし、言葉も突き放すようなものばっかりだったし、少し怖かったな。
でも仕方なかったんだよね。
なぜなら君とほんの数秒目が合っただけで誰彼構わず催眠状態になって君の言いなりになってしまうのだから。
十分やそこらで解除されるとはいえ君は自分のせいで誰かの自由意志を奪うのが許せなかった。
だから君は人となるべく関わらないようにわざとそんな言葉遣いや雰囲気を作っていたんだよね。
……でもさ、そんな君の特殊能力が僕に効かないばかりかまさか君と旅をするなんてあの時は本当に思いもしなかったよね。
ふふっ、人生何があるかわからない。だね!
……もう。そんな怖い顔しないでよ。せっかくの綺麗な顔なのに。
それにさ、僕は君の特殊能力を消し去るという目的かわ達成されてもずっと一緒にいるよ。
君と僕はもう友達なんだから。