風はいろんなものを運んでくる。
暖かさや寒さ、花粉やにおい、便りや知らせ……などなど。
そう考えると風が運ぶものは多岐にわたる。
季節もまた風が運んでくるのだろう。
ならば早めに春を運んで来ておくれ。
それとスギ・ヒノキ花粉は運ばないでおくれ。
頼むから。
英語のquestionを見るとリスニングを思い出す。
(何言ってるのかわからねー……)からの『Question』で(何聞かれてるのかわからねー……)の絶望。
選択肢は全て勘。当たればラッキーである。
言語自体に興味がないわけではないのだが、なぜか頭に入ってこないのだ。
ゲームや漫画に出てくるような英単語はしっかり覚えるのに。
不思議だなー。
『指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます。指切った!』
これを聞く度に思う。
物騒なフレーズだよなあと。
げんまんは漢字表記で拳万……拳で一万回殴られるということだそうだ。
約束するために指を切って、嘘をついたら拳で一万回殴り、あげくの果てに針を千本飲ます……
そうして交わした約束はいったいどれほどのものだったのだろうか。
指を切るだけの価値はあったのだろうか。
まあ指切りの起源が江戸時代の遊女からだそうなのでそれくらいの価値の重い思いがその人にはあったのだろうな。
ひらりひらりと軽やかに攻撃を避け続けるやつらに私はイラついて思わず画面に向かって悪態をつく。
こいつらさえ倒せれば……! と気持ちは焦り、コマンドを入力する手に力が入る。
当たれ当たれと祈るも、それも虚しくひらりと身をかわされる。
そして画面には『はぐ◯メタルたちは 逃げ出した!』の文字……
くそー! はぐメタとメタキンが一緒に出たのに!
つーかみかわし率高すぎだろぉおお!
なんでこっちの攻撃当たらなかったんだよおぉおお!
……はぁ、めんどいけど地道にレベル上げしよ……
勉強中コンコンと控えめなノックの音がした。
たぶん妹だろうな〜、と思いながらガチャリとドアを開けるも誰もいない。
何かドアに当たった? それともまた妹のイタズラ?
でもドア周辺に何もないからとりあえず妹を呼ぶと「今むりー! ちょっと待ってー!」という声が居間から聞こえた。
居間を覗くと妹が4vs4のイカした対戦ゲームをしていた。
残り時間は一分を切っていてしかもかなり白熱している。
この状態ではプレイを中断して私の部屋にノックして戻るなんてできない。
じゃあお母さん? と思ったけど、お母さんは晩ごはんの用意をしてるし、何より私を呼ぶ時はノックと共に声をかけるはず。
そしてお父さんは今外出中……
……うん。ノックの音なんて気のせいだったかも!
そうそう空耳よ空耳!
このイタズラ成功みたいな笑い声も空耳!
誰かしら? なんて考えちゃダメなのよ!