夏になれば進んで入りたくなるのに、冬になれば出来るだけ入りたくない場所。
それが日陰。
日陰のことを今は考えたくないけど、夏になれば日陰を求めるんだろうな。
ああでも、冬でも日陰を求めることもあるか。
さっむい日に子どもと氷を作る時とか、ミニ雪だるまが溶けないようにする時とか。
それ以外に何かあるかな?
しばらく考えてみようかな。
今日はとても寒いから、最強の帽子かぶって出かけようかな。
耳当ての付いたあったかニット帽。これをかぶってたら耳が寒くならないの。
なんて素敵アイテム! これ考えた人天才!
そう心の中で称賛してあったかコートに袖を通す。
さあ、出かけよう。
お昼ご飯を買うために。
今日こそ告白しよう。
……そう思って五日が過ぎた。
今日こそは、今日こそはとずっと思っているのに悪いことばっかり考えてしまって中々行動できない。
『じゃあこの思いをずっと抱えて生きていくの?
ちゃんと言えば良かったって後悔したままにするの?』
そう心の中の私が問う。
私だってこのままで良いなんて思ってない。
今の私に足りないのはほんの小さな勇気だけ。
今こそそれをなんとか引き出す時。
……よし。当たって砕けろだ。
ここまで引き伸ばしてしまったからきっとすごく怒ってると思う。
でも、こんなことになったのは私が臆病だったせいだ。
……覚悟を決めよう。
「お父さん。……コップ割ってごめんなさい……」
……案の定、早く言いなさいって怒られた。
でもちゃんと告白してえらいねとも褒められた。
それでも……やっぱり早めに言うべきだよね。
怒られるってわかっていても。
お姉ちゃんを驚かせたい。
こう……わぁ! って感じで。
イタズラはこの間のでもうこりごりだから、それ以外にしないといけないわね。
だったら……何がいいかしら?
そういえばお姉ちゃん、おっきなぬいぐるみが欲しいって言ってたような。
それをプレゼント……うーん、あたしのお小遣いが足りないわ。
というか、お姉ちゃんの欲しいものってだいたい小学生のあたしには高すぎるものばかりなのよね。
お姉ちゃんもお菓子とかジュースとかかわいいヘアゴムとか欲しがればいいのに。
うーん、どうしよう……
……困ったときの、お母さーん!
そうしてお母さんに相談したら今日の夜ご飯はグラタンになって、お姉ちゃんもわぁ! ってびっくり驚いてた。
……なるほど。滅多に出ない料理で驚かせるっていうのもアリなのね。
あたしもお母さんにお料理教えてもらおうかしら。
……だってなんか悔しいもの。
いつか聞いたおとぎ話のような物語。
いつの間にか僕たちもそれと同じような物語を紡いでいる。
僕たちはただ好きなように旅をして、時々事件に巻き込まれては人助けをしていただけだった。それなのに双子の英雄とか大層な二つ名がついてしまった。
それのせいでさらに事件に巻き込まれたり、ややこしいことになったりしたけど、僕も姉もノリノリという名のヤケクソで問題解決に取り組んでいた。
そんなこんなのすったもんだがてんこ盛りだから僕たちの旅路を纏めた本が人気になったりするんだろうな。
……まあでも、内容はちょっと盛りすぎなところもあるけどね。
僕たちの旅が終わっても、本の中の僕たちは終わらない物語を紡ぎ続けるのだろう。
それはきっと脈々と受け継がれて英雄譚として、おとぎ話として人々に愛され続けるのだろう。
そう考えるとなんかすごくロマンだね。