バスクララ

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12/21/2024, 12:49:30 PM

双子の姉と共に旅立って数年が過ぎた。
いろんなところに行った。大きな国から小さな村まで。
平和だったり、争っていたり……いろんな人がいた。
僕たちはそこでたくさんの人助けをしたり、事件に巻き込まれたり……様々な経験をした。
今度はどこに行こうか? そう姉に訊くと、彼女はにっこり笑って大空を指さした。
そういえばこの間、この世界で一番大きな国の図書館で古びた本を読んでたっけ。
昔から度々観測はされるものの、前人未到で何もかもが謎に包まれた大空に浮かぶ城の目撃集をまとめた本を……
あそこまでどうやって行くのか想像もつかないけど、姉のことだからそこまで行ける心当たりはあるのだろう。
そうでなくても、僕たちなら大丈夫。
二人で力を合わせればなんだってできる。
今までもそうしてきたんだから。

12/20/2024, 1:09:05 PM

鳴り響くベルの音。誰かの結婚式が執り行われているらしい。
きっとそこには幸せそうに笑う新郎新婦と、二人を祝福する人たちがたくさんいるんだろうな。
いつか私もそうなれる日が来るのかな?
煌びやかなドレスを着て、艶やかにお化粧もして、隣には生涯を添い遂げる人がいる。
友達たちから祝福されて、二人で新しい家庭を築いていく。
健やかなる時も病める時も、死が二人を分かつまで愛を育んでいく。
いつか私もそうなればいいな。

12/19/2024, 12:24:27 PM

一人はいやだ。
悲しい気持ちになるから。
親も弟もいなくなってしまったあの日を思い出してしまうから。
幸せだった。これ以上何も望まないくらい幸せだった。
だけど今は心にぽっかり穴が開いて、何も感じなくなった。
今俺の周りに友達も仲間もいるけど、誰もこの穴を埋められない。埋めることなどできやしない。
この穴に名前をつけるなら、おそらくそれは『寂しい』だろう。
あの日に戻りたい。幸せだったあの日に、……帰りたい。
家族じゃないとこの穴はどうにもできない。
今のままじゃ広がる一方だ。
……ほら、本音を話したよ。
だから早く、この穴を埋めておくれよ。
俺を家族と呼ぶのなら、早くこの寂しさから解放してよ!
お願いだから……

12/18/2024, 1:22:36 PM

寒い冬は一緒に何をしましょうか。
二人で毛布にくるまって、あたたかいココアを飲みながら星空でも見ましょうか。
この時期は空気が澄んで星がとても綺麗に見えますから、きっとあなたも退屈しないはずですよ。
星にはあまり詳しくないですけど、あなたと一緒に見る星はとてもきらめいて見えるのでしょうね。
だけど、あなたほどキラキラ輝いている星はないでしょう。
ふふ……大好きですよ。
……もう、照れないでくださいよ。私だって恥ずかしいんですから。

12/17/2024, 12:36:41 PM

「だからね〜……で、……があって……」
「ふーん。……で、……なんだね〜」
 隣の席の女子高生たちはとりとめもない話をずーっとしている。
 私は人待ちで喫茶店にいるけど、かれこれ一時間は経つ。その間、女子高生のおしゃべりは止まることがなかった。
 私も女子高生の頃はそうだったなあとしみじみしていると、待ち人から着信が。
『ごめん! やっと最寄り着いた! 今どこ!?』
「コーヒーとサンドイッチが美味しい駅前の喫茶店」
『OK! 奢るわ!』
 元気のいい宣誓と同時に電話が切られる。
 さてさて、待ち人が来るまでの数分間、冷めたコーヒー飲みつつ彼女たちの話に耳を傾けていようかな。
 こういうとりとめもない話こそ案外いい暇つぶしになるんだよね。

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