「だからね〜……で、……があって……」
「ふーん。……で、……なんだね〜」
隣の席の女子高生たちはとりとめもない話をずーっとしている。
私は人待ちで喫茶店にいるけど、かれこれ一時間は経つ。その間、女子高生のおしゃべりは止まることがなかった。
私も女子高生の頃はそうだったなあとしみじみしていると、待ち人から着信が。
『ごめん! やっと最寄り着いた! 今どこ!?』
「コーヒーとサンドイッチが美味しい駅前の喫茶店」
『OK! 奢るわ!』
元気のいい宣誓と同時に電話が切られる。
さてさて、待ち人が来るまでの数分間、冷めたコーヒー飲みつつ彼女たちの話に耳を傾けていようかな。
こういうとりとめもない話こそ案外いい暇つぶしになるんだよね。
朝起きたら喉が痛い。風邪引いちゃったかなあ……。
おかしいなあ。お腹出して寝てないし、お風呂から上がったらすぐに体拭いて髪も乾かしてるのに……。
外から帰ったら手洗いうがいも毎日ちゃんとしてるし、みかんもこの時期は毎日食べてる。
寝室には加湿器もつけてるし、湯たんぽだって完備してる。
学校からもらってきちゃったのかなあ。
でも、露骨に咳とか鼻水とか出してる人、そんなにいないけどなあ。
うーん……? じゃあなんで喉が痛いのかな……?
何か変わったことしたっけ……?
あっそうだ、昨日カラオケで熱唱したんじゃん!
そうだ、それで痛いんだ。あー、スッキリした。
さてさて、原因がわかったから朝ごはん食べてのど飴舐めてうがいしてマスクして学校に行きましょうかね。
今日からテストだ。ほとんどノー勉だけどなんとかなるっしょ。
それが終わったら楽しい年末旅行だ。それまでに風邪治さなくっちゃね。
冬になったら雪が降って積もるものだと信じていた。
まあその思いは小学生になる頃にどうやら違うらしいと悟ったけど。
僕が住んでいるこの地域はあんまり雪が降らない。
降ったとしても積もらないから、雪遊びなんて夢のまた夢だ。
それでも雪が降ると嬉しいから、僕は雪を待つ。
それに雪が降ったら、ものすごく寒くてもなんとなく諦めもつくからね。
街路樹を彩るキラキラのイルミネーション。
子供の頃、それはそれは目を輝かせて食い入るように見ていたっけ。
大人になった今思うことは、あー今年もそんな時期かという感想。
キレイとは思うけど、子供の頃みたいな感動は薄れてしまった。
あの頃は寒空の中親を待たせてまでじ〜っと見上げてたのに……。
そう考えたら大人になるって寂しいかもしれない。
けど、大人にしかできないこともある。
さーて、家に帰ってお鍋の準備をしないとね。
子供と夫がお腹をすかせて待ってるもの。
私にいっぱいの愛を注いで。
あなたのためにキレイな花を咲かせるから。
優しく甘い言葉や、明るく楽しい言葉。それらを囁いてくれたら頑張ってもっともっとキレイになるわ。
大好きなあなたのために、私は大きな花を咲かせたいの。
あなたがメロメロになるような魅力あふれる私になりたいの。
だから愛を注いで。
あなたの一番のお気に入りの花になるために。