街路樹を彩るキラキラのイルミネーション。
子供の頃、それはそれは目を輝かせて食い入るように見ていたっけ。
大人になった今思うことは、あー今年もそんな時期かという感想。
キレイとは思うけど、子供の頃みたいな感動は薄れてしまった。
あの頃は寒空の中親を待たせてまでじ〜っと見上げてたのに……。
そう考えたら大人になるって寂しいかもしれない。
けど、大人にしかできないこともある。
さーて、家に帰ってお鍋の準備をしないとね。
子供と夫がお腹をすかせて待ってるもの。
私にいっぱいの愛を注いで。
あなたのためにキレイな花を咲かせるから。
優しく甘い言葉や、明るく楽しい言葉。それらを囁いてくれたら頑張ってもっともっとキレイになるわ。
大好きなあなたのために、私は大きな花を咲かせたいの。
あなたがメロメロになるような魅力あふれる私になりたいの。
だから愛を注いで。
あなたの一番のお気に入りの花になるために。
『離れていても心と心は通じ合ってるよ。
だから心配しないで。私は新天地でも元気でやってるから』
そんな手紙が届いたのはあの子が引っ越してすぐのことだった。
幼稚園からの友達。小学校、中学校と同じ学校だったから高校もあの子と同じところにしようと思っていた。
だけど、親の都合であの子は遠くに引っ越すことになってしまった。
とてもショックだったし、信じたくなかった。
クラスでお別れ会をやった時だって私はわんわん泣いた。周りが引くぐらい泣いた。
引っ越し当日、私の思いを綴った手紙を渡してやっぱり泣いた。
あの子はそんな私を抱きしめて優しく撫でてくれた。
親以外の人から抱きしめられるのは初めてだったし、ちょっと照れたけど……温かくて、ふわふわだった。
あの感覚をもう一度味わいたいな……。
いやそれよりも今は手紙のお返事を書かなきゃ。
心と心が今より以上に、もっともっと強固に通じ合えるように。
あの子に届け、この思い。
何でもないフリは大変だ。
わかっていても、察してしまっていても、ポーカーフェイスですましてないといけない。
私はひょんなことから妹が私の誕生日にサプライズプレゼントをすることを知ってしまって、それ以降妹がこそこそしてても何でもないフリをし続けている。
もともとポーカーフェイスなんて不得意だけど、本人が知っているサプライズなんてサプライズじゃないからなんとか頑張っている。
全ては妹の笑顔のため。お姉ちゃんは地味な努力をしています。
そして私の誕生日。私の頑張りも妹のサプライズも実を結んだ。
はー、やれやれと思っていると母が一言。
「二週間お疲れさま、お姉ちゃん」
……母にはバレていたようだ。
仲間だった。
仲間だと思っていた。
ちょっとヘマをやらかしただけなのに、彼らは俺を許さなかった。
口々に俺を糾弾し、ケジメをつけろとナイフをよこしてきた。
これで命を捨てろということだろう。
だが、こんなことで人生終わらせたくねえ。
だから逆に彼らの人生を終わらせてやった。
辺り一面に広がっていく赤と、その上に横たわる肉の塊たち。
俺の手も心ももう汚れきっているから今更何も思うことはない。
まあでも……仲間だった奴を手にかけたのはこれが初めてだな。
願わくば次が来ないことを祈っておこうかね。