「岐路」
その時は当然こちらだと思って選んだ道が、実はもう一方も十分選択可能だった道だと気付いた時、どうする。
現実世界に「if」は無く、戻れない。
戻れないけれど引き返せることはある。
これは引き返せると思ったら、引き返した方がいい。
ほとんどの道は引き返したいと思っても引き返せないから、引き返せる道は実はそちらが本来選ぶ道だったのだと思うのがいい。
とはいえ、人生は一本道。
岐路も長い目で見れば一本道の中のただの道。
良い時も悪い時もただ一本の、続く道の一過程でしかない。
一本道なら引き返さなくても同じでは?という反論があるかもしれない。
引き返さないと、その先で道が終わりなこともある。
乗り越えるのが正解なことと、逃げるのが正解なことがある。
考えて
考えて
行動したことは
そのことに意味がある。
人に言われたから
そうするしかなかったから
他責の言い訳は聞き飽きた。
自分の選択が自分の判断だと言い切れた時に、一本道はまた輝く。
「世界の終わりに 君と」
世界の終わり。
私が死ぬ時?
大災害?
この世の果て?
世界が終わる時には
一緒にいたい人といたい。
でも相手が私といたいとは限らない。
相思は難しい。
世界が終わる時に一緒にいたいのは
愛犬。
保護犬。
この犬が生涯を全うするのを見届けるのが私の役割だと思っている。
子どもはもう大きいから
世界の終わりには自分たちが一緒にいたい人と過ごしてほしい。
私と一緒では逆に心配。
夫?
世界の終わりに夫といたら
全く落ち着かないし
悲劇のヒロインまたはヒーロー発動で
一人大騒ぎ、嘆きの誰ぞになって
不愉快極まりないだろうから
夫は1人でいたらいいと思う。
君と、って
相手にも選ぶ権利あるだろうに。
このタイトル考えた人は自信がある人なのだね。
「最悪」
最悪は、今までで一番悪いということなので、それを越えると同じぐらいのことは最悪でもなくなる。
そしてまた次の最悪がやって来る。
なんだ、この世はダンジョンなのか?
私はレベルアップしてるのか?
こんな最悪いらないよ?というような
次から次にやって来る。
いつか死ぬ時には最悪もだいぶ更新されていて、人生楽勝だったと思うのだろうか。
「狭い部屋」
懐かしいあの部屋。
一人、気ままに暮らしたあの部屋。
帰宅はいつも深夜、
週末もあまり居なかったけれど
帰る場所があるのは嬉しかった。
部屋に人を呼ぶのは好きではなかった。
この狭い部屋は私が私でいられる場所で
そこに踏み入られるのは
好きではなかった。
男は部屋に来たがった。
ホテルのつもりか?
しかし私は自分の部屋が一番落ち着くので、帰る前提ならと部屋に入れた。
私は人と寝るのが好きではない。
セックスすること自体は好きだけれど
その後に寝てしまうことが、無防備な自分で好きではない。
あの狭い部屋で、一人で暮らしていた。
仕事は忙しかったが、その分給料は良かった。
週末は踊りに出かけた。
酒を飲み、煙草を吸い、踊っていた。
狭い部屋には一人でいたかった。
人の部屋で勝手にくつろぎ、
ホテル代わりに使う。
シーツも自分で洗わなくていいから手頃だったろう。
結婚するのに、あの狭い部屋を出た。
一人でいたかったあの気持ちを
無視せずにいたら良かった。
失恋
恋を失うのが失恋。
結婚を決めて
あれ、なんか変だなと違和感を感じた時
妊娠中で切迫早産気味、安静指示の出ている私に、夫が布団を運べと声高に言った時
顔面麻痺を放置して無関心のまま過ごされた時
恋は失われて愛は消え、
失望だけ残った。