三日

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「狭い部屋」


懐かしいあの部屋。
一人、気ままに暮らしたあの部屋。
帰宅はいつも深夜、
週末もあまり居なかったけれど
帰る場所があるのは嬉しかった。

部屋に人を呼ぶのは好きではなかった。
この狭い部屋は私が私でいられる場所で
そこに踏み入られるのは
好きではなかった。

男は部屋に来たがった。
ホテルのつもりか?
しかし私は自分の部屋が一番落ち着くので、帰る前提ならと部屋に入れた。

私は人と寝るのが好きではない。
セックスすること自体は好きだけれど
その後に寝てしまうことが、無防備な自分で好きではない。

あの狭い部屋で、一人で暮らしていた。
仕事は忙しかったが、その分給料は良かった。
週末は踊りに出かけた。
酒を飲み、煙草を吸い、踊っていた。

狭い部屋には一人でいたかった。

人の部屋で勝手にくつろぎ、
ホテル代わりに使う。
シーツも自分で洗わなくていいから手頃だったろう。

結婚するのに、あの狭い部屋を出た。




一人でいたかったあの気持ちを
無視せずにいたら良かった。

6/5/2023, 9:28:07 AM