KOKO

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8/5/2023, 1:09:07 PM

鐘の音

鐘の音がなる。
おねむさんな誰かが目を覚ます。

鐘の音がなる。
きっと誰かが祈りを捧げてる。

だけど今は聞こえないよね。鐘の音なんて。

私はいつも思う。あの音をもう一度聞きたいって。

いつも願ってる。あの音をもう一度聞かせてくれって。

だけど、私はおっきな鐘を買うお金も、それを置く場所も今は一つもない。

「あの世にまだいたら、私は聞けてたのかな」

7/15/2023, 5:32:38 PM

終わりにしよう

 こんな関係、もうやめよう?

 ある日、異性からそう言われた。

 離れちゃうってこと?

 そう聞き返した。

 もっと近づくってこと。

 え?

 恋人になりたい

 君の頬は赤く染まっていた。

 私もほんのりと顔が熱くなった。

 勿論です。よろしくお願いします。

 私達は抱き合った。

7/8/2023, 5:00:43 AM

七夕
七夕って、みんなの健康とか願いたくなるよねって、表面上は言っておく。そして、表には「家族が健康でいられますように」って書く。
 でも、みんながいなくなったら裏にこう付け足す。


 「彼氏をください」と。

7/4/2023, 11:33:53 AM

神様だけが知っている

 この世界が、飛び出す絵本ってことを知っているのは、きっと、この世界じゃ私だけだ。

 私の前世は神様だった。私が中二病だからそんな事を言っているわけではなく、本当に。
 そして、この世界は私が前世で読んでいたとびだす絵本に似ているのだ。だから私は、この世界の始まりも、一ヶ月後くらいの未来も知っている。勿論終わりだって知っている。

 この世界の始まりは、この絵本が作られた時。この世界の終わりは、この本が捨てられてしまう時。
 つまり、この世界は火に包まれて終わるということだ。

 でも、それは前世の私がいた世界もおんなじ気がする。
 前世にいた世界も、なにかの本の世界のはずだ。ちゃんと、伏線も、起承転結もその世界には存在していたから。

 だから、本当にこの世界の、ほんの外の話を、真実を知っているのは一番偉い神様だけ。
 


   そう、神様だけが知っているのだ。

6/27/2023, 10:59:06 AM

ここではないどこか

 ここではないどこかに行きたくなって、両親に見られないように布団に潜ってから祈ってみる。どこか知らない場所に連れてってください、と。
 でも、行けるはずもなく、明日が来るのが不安なままいつの間にか眠りについている。もしかしたら、明日にはどこかに飛ばされてしまっているのではという期待を、ほんのちょっだけ抱きながら。
 でも、朝起きても景色は何もかわっ.............ってる、だと...?
 顔がクレヨンで黒く塗りつぶされてしまっているような人間がいたり。
 東京の大きな交差点に似ているけど、雰囲気が違ったり。
 車の中も闇に包まれてて誰も乗っていないように見えたり。
 とにかく何もかもが少しずつ違う。
 もしかしたら異世界という名の『ここではないどこか』かもしれない。
 前に私はちょっと不気味な話を聞いたことがある。
 その話に出てきた一人の少女と、今の私の現状は似ている。
 

 その少女は、周りからとても愛されていて、その地域のアイドルや、女神の様な存在だった。しかし、その少女はある日を境に姿を消したという。
 そしてしばらく時は経ち、その少女が生きているならば成人する頃、その少女は帰ってきた。あの少女の最後の目撃情報があった公園に。
 そしてそこを通りかかっていた、昔の知り合いに少女はこう言った。
「コノ■ウエン▼、ダメ.........ス※タ%◉ワル」
多くの言葉は聞き取ることが難しかったが、文脈的に、「この公園は、だめ。姿が変わる」と言っているということがわかった。
 それを聞いた昔の知り合いは、この話をすぐに近所に広めたらしい。そしてそれはやがて多くの人に知れ渡ることになり、その少女は精神病棟に。その公園は閉鎖されたらしい。
 今はその少女は生きていないが、一枚の紙に遺言が残っている。
「ワタシ、イセカイ、イッタ。ミタメ、スコシ、チガウ。コワイトコ」
という、不気味な物だったらしい。


 この遺言と同じく、前に述べたように、私が今いるところも見た目が少し違う。
 私まで、この少女のようになるのはゴメンだ。
 私は意味もなくひたすら走った。元の世界に戻してくださいと願いながら。
 もしかしたら戻れるかもしれないと思いながら。
 しかし、いくら走っても戻れるわけもなく私はとうとう力尽きてしまった。
 私の前に小柄な女の子が立っていた。その少女は言った。
「ココ、アブナイ。ヒト、ハイッチャダメ。」
そしてひときわ大きな声で。
「カエレェェェェェェェェ」
そこからのことは覚えていない。私はいつのまにか病院のベットで寝ていて、心配そうに見守る母と、白衣を着た先生らしき人と話す父がいた。
 


 今思うと、私はあの女の子に助けられたのかもしれない。
 しかし、何者だったのかだけが、10年経った今でも疑問だ。
 次会うときには、お礼をしたい。





「ワタシヲ、オモウナ。ワスレテ。ワタシノ カワイイ マゴヨ」

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