私はあの日、一生解けることのない魔法にかけられた。
それはどんな動物にもなれるような愉快なものではないし、
空を飛べるようになるなんて空想的なものでもない。
そうね、それはきっと呪縛のようなもの。
私を縛りつける、愛という歪んだ呪い。
___魔法
君の声がする。
"好きだよ"って、少し照れてる君の声。
"可愛い"って、微笑んでいる君の声。
君のいた幸せを噛み締めて振り返る。
"ごめん"
優しさが消えた、冷たい君の声がした。
___君の声がする
なんでも1人でできる強い子だねって、
私はそんな風になりたいなんて望んだこと一度もなかった。
でも、そう生きるしかなかったの。
そうなることでしか生きていけなかったのよ。
私の強さはね、隠そうとした弱さの裏返しなの。
私の優しさは、いつだって自分を守るためのものなの。
みんなが褒めてくれる強い私は、
自分を痛めつけて苦しみを押し殺して手に入れたの。
誰にも理解してもらえなかった痛み。
気づいてもらえなかった涙。
適当に生きてるように見える馬鹿な子にだって、
隠したい秘密はたくさんあるのよ。
この不平等な世界で、苦しみだけは平等に与えられている。
誰も知らない秘密を、みんな抱えて生きている。
辛いことが一つもない人生なんて、
幸せしか知らない人なんて、
この世には1人もいないもの。
___誰も知らない秘密
好きだよなんて嘘つき。
傷つけたくないなんて卑怯者。
君のその不器用な優しさが、私を弱くするのよ。
___やさしくしないで
あと何分経てば、
あなたのいなくなった夜が怖くなくなって。
あと何時間経てば、2人の好きが嘘になって。
あと何日経てば、
あなたが最後につけたこの傷が消えるだろう。
世界でただひとり愛したいと思った人が、
この世で最も憎らしい人に変わってしまった瞬間。
"さよなら"さえない、あまりに冷めた最後。
それがあなたらしくて、でもあなたじゃないみたいで。
きっとあなたをこうさせてしまったのは私ね。
嫌でも影響を与えてしまうのはお互い様。
だからこそ一緒にいたくても、
別れなきゃいけない人に出会う時もある。
私はあなたのためにこの道を選んだのよ。
だけど永遠の別れは誓えないから、さよならは言えない。
ばいばい、今はこれで許して。
___バイバイ