【また いつか】
「じゃあね」じゃ素っ気ない気がして
会う頻度の高い友人には「またね」と言う
『もう会わない』と心に決めたり
『もう一生会わないだろうな』と思う人には
「サヨナラ」の代わりに
「また いつか」と軽く手を振る
「また いつか」とは便利な言葉だと思う
「また いつか 偶然に会えたら」それが本音
『偶然に会ったらね』とは言えないものね
「また いつか」
それぞれ素敵な人生になります様に
【星を追いかけて】
星を追いかけるなら
やっぱり乗り物が必要
宇宙戦艦ヤマトなら船だし
銀河鉄道999なら列車だし
船も列車も良いなぁと思うけど
何にしようかと思うとこの部屋ごと行きたい
好きな物の詰まっているこの部屋で行きたい
いや、何なら好きな東京のまま行きたい
東京ごと宇宙に飛んで星を追いかけたい
星を追いかけながら普段の生活をしたい
だけど、それは余りにもわがままな気がするから
とりあえず、どうして星を追いかけたいのか?を考えてみる、基本に戻る
「星の王子さまに会いたいから」
存在するんやろか…星に私の王子さま…居るんやろか…地球じゃあかんのか、居らんのか……
氷をガリガリ回して昭和のかき氷を作りながら
私の何があかんのかな?とちょっと考えるお題になった
【今を生きる】
毎日こうしてお題が出て、自分の引き出しが
どれくらいあるんだろう?どれだけ書けるんだろう?と思う、そしてこうして書いているわけだけど
世界の文豪が書いた名作、名言とか
世の中に誕生した本の様には残らない
私の書いている今の文章はネットの宇宙の彼方の塵となる
私の事を知る人も無く私もいつか塵となる
だけど私は書きたいから書く
今を生きるとはそういう事だと思う
【飛べ】
穏やかに静かに流れる清流に足を濡らして揺らして、川の流れに任せる足をずっと見ている
「もう…嫌だ」「もう………嫌だ」
呟いた声が川に落ちる落ちる……落ちる
私はずっと水面を見ている
「あっ…魚」
足の間を魚が通った
私は思わず立った
ここでは無いどこかへ行きたかった
魚の行く方へ魚の行く方へ
川の中にある石から石へ
飛べ飛べッ!私
魚を追いかけて
飛べ飛べッ!行けるところまで行けるところまで!
いつの間にかポロポロ涙を溢しながら
もうそこには居ない魚を追いかけていた
私は川の真ん中にある石に立ち
右手の拳をオデコに当てて泣いた
両手で顔を覆ってしゃがんで泣いた
ワンピースの裾が濡れている
どんどん濡れちゃえばいい
全部濡れちゃえばいい
そんな日があったっていいじゃない
自分でもどうしてこんな事しているのか
分からない日があったっていいんだ
【Special day】
階段を降りていつものように冷蔵庫から冷たい水を取り出し、キッチンの真後ろにあるダイニングテーブルの椅子に座って日差しが降り注ぐ日曜のリビングを理沙はぼんやり眺めながら
水を一口飲んだ
そこにサテンの表は黒色、裏は赤色の膝まであるマントと子供の頃買ってもらった先端は星で肘まである金色のステッキを持って祖母と母と叔母が真顔で
父はマントだけでステッキは無くちょっと間抜けなような顔で
ダイニングテーブルを挟んで現れた
私は顔と声にならない口元だけで「何?」と言った
寝起きの頭では夢と判別し難いほどの
殆ど夢であろう気持ちで見た
祖母が「理沙ちゃん、おはよう 17才のお誕生日おめでとう」やっと理沙は理解した
理沙の誕生日の為に朝から楽しませてくれようとしているのだ、突拍子もない家族なので理沙は「おはよう」とニンマリと笑って返事をし
水をもう一口飲んだ
祖母は「理沙ちゃんにお話があるの
これはね、17才になったら伝える習わしが家にあってね」と話し出す
劇でも始まるのかと理沙は身の置きどころに困ってるような父の姿を見てニヤニヤしていた
家族で自分を喜ばせてくれるのは心から嬉しい
劇は続く
「理沙ちゃんも何となく家って変だなぁ、と思った事は何度かあるでしょ?」
そんな事は何度かどころか慣れすぎているので
軽く肘をついてうんうんと頷いた
「それなら良かった」と祖母は満面の笑みを浮かべた
その間、母、叔母、父は誰も話さずに私を見ていた
「理沙ちゃん…理沙ちゃんは魔法使いの国の経理課の家系に産まれたの
そんなお買い物は落とせません、とかいう
そういうお仕事」
劇にしては凝った内容になった
魔法使いの国の経理の家系とは……
単に魔法使いじゃないんかいと心の中で笑った
「理沙ちゃん、ここまで大丈夫?」と祖母は
私に尋ねる
私は右手でOKと作った
「理沙ちゃんはこの家系を継いでいく使命があるの、だからパパの様に理解のある男性と結婚してね」と祖母は父を見て微笑んだ
父は照れくさそうに笑った
「パパは血が繋がっていない人間だから
マントは着けられてもステッキは持てないの」
『これはいつまで続くんだ?』と心の中で思っていた『そろそろ終わりか?』と思った瞬間
祖父が少しの煙と共にプレゼントを抱えて現れた
私は立ち上がった、祖父の登場だけはどうやって身につけたのか知りたかった
「え〜お祖父ちゃん凄〜い…」とパチパチと拍手した
それから祖母は薬草入の大福を作るのが恒例だと言って、祖母、母、叔母と私は
大福作りに取り掛かった
祖父と父はリビングのソファで談笑している
薬草と言ってもヨモギだ
私達はヨモギ餅を作る
私はこっそりと母に
このサプライズは祖母の提案かと尋ねた
母は「理沙これ覚えてる?」とおでこに両手の人差し指で小さくクロスした
私は「覚えてるどころか集中したい時やってるよ〜」と跳ねるような声で言うと
「それが初めて理沙に教えた魔法界の誓いなのよ」と母は涼しい顔で言った
Special day過ぎる17才の朝だった