香水をつけはじめたあなたは別人みたい。
学生の頃は香水なんてつけてなかったのに。
大人っぽい時は、ローズとムスク系
カジュアルな時は、コットン系
特に可愛らしい時は、フローラル系
あなたの香水が変わるたび、別人みたいだなって思うの。
でもあなたの性格は変わらず。少し大人っぽくなったけれど、あの時みたいに無邪気で。
やっぱり、何の香水もつけていない、
香水が切れたあなたのままが好きだよ。
だって、何もつけていないのに、こんなに落ち着く。
なんて少しキモいかな…。
あなたから見て、ただの女友達がこんなこと感じていてごめんね。
僕の心とか未来とか感情とか、全部全部無視して、
空は、時に顔を上げられないほど眩しく笑ったり
しとしとと泣いたり、曖昧に曇ったりする。
それが憎らしく感じるけれど、たまに僕の気持ちを
代弁してくれてるような感覚になったり
僕と一体になっているような気持ちなる。
君が眩しく笑うから、意外と元気になれたり
君がしとしと泣くから、僕の気も重くなったり。
僕の涙の代わりに、君が泣いてくれてるようにも感じる。
ねえ、空。ソラ。
空みたいに明るい笑顔で、
空みたいに僕の代わりに泣いてくれるような
優しさを持ってて、
そんな君に、もう一度会いたいな。
空を見上げて、心に思い浮かんだ。
僕は何も出来ない。
君みたいに、勉強も運動も上手くできなくて、
かといってそれを補えるような優れた才能もなくて、
君が羨ましいよ。
だから…少しだけ頑張ってみる。
できないなりに…これしかできないから。
ちょっと勉強いつもより頑張って見たり、
いつもは苦手な運動も練習してみたり、
才能はどう頑張っても難しいけど…
努力で補える部分もあるって信じたかった。
君みたいなことは出来ないけど、
劣等生の僕だから…人一倍頑張るしかなかった。
頑張ってる瞬間は、少しだけ、いつも涼しい顔の君より
少し自分を誇らしく感じることができて、
優越感を感じれた。
そんなあいつが俺は嫌いだ。
俺より勉強も運動もできなくて、
俺みたいな才能もなくて、
そんなあいつのままでいいんだ。
そう、そのままで。
そうすれば、俺はずっとあいつの上にいられて、
あいつ一人に限らず沢山のやつの上にいられて。
一番で。一番優越感に浸れたんだ。
けど、あいつは、
勉強を頑張り始めた。運動も練習してた。
相変わらず才能は何もないけど。でも、
ミスしても何してもひたむきで、無性にムカつく。
こんな俺が抱くはずの真反対みたいな感情。
劣等感なんて知らなくていいはずなのに。
あとがき…
優越感って劣等感を意識しているからこそ
起きたりすることもあるのかなと思いました。
劣っていても優れていても、
このストーリーの君たちは、そしてあなたは、
かけがえのない存在なのですよ。
なんて、少々図々しく申し訳ありません…。
こんな蛇足まで読んで下さった方も
ストーリーを読んで下さった方も
ありがとうございました。
これまでずっと、私はあなたが好きなの。
その艶々の髪、スラッとしたスタイルが好き。
ただぼーっと授業を聞いてる少し気の抜けた顔も。
しっかりしてるけど、たまにでてる寝癖が可愛くて。
一緒にUFOキャッチャーに行った時に私がとった
キーホルダーもずっとつけてくれてて…。
友達として、遊びに行ったり会話する日々だったけど
それだけでもとっても幸せだった。
けど、いつからか、
あなたは私のキーホルダーを外してて…。
「彼氏できたんだね…!おめでとう!」
上手く笑えてたかな。私。
そのキーホルダーは、彼氏から貰ったんだ。
ふたつでひとつのハートになるんだ…。
「小学生しかつけないよね、こんなの笑」って
あなたは言うけど…、でも、幸せそうだね。
私のキーホルダーをつけてたところに
そのキーホルダーつけたんだね。
もう、あなたの隣にいれないんだね。
これまでずっと、好きでした。
上手く応援できなくて、ごめんね。
…あなたは私のこんな気持ち知らないでいてね。
これからもずっと。
ピコン!なんて陽気な音を立てながらスマホが震える。
「ねえ!元気〜?」
そんな煩いあいつからの1件のLINEが来た気がした。
けれど、片手で数えても埋まらないほど
友達の少ない俺に来るLINEなんて、
公式のどうでもいいLINEか、
とりあえず入った、くだらない身内話と宿題の話で
たまに動く学校のグループLINEだけだ。
開いてみても…あぁ、やっぱり。
くだらない内容の通知だった。
けれど俺はLINEの通知を切れないでいる。
トーク欄を遡り、あいつのトーク画面を開いてみる。
全く自分からLINEを送らないタイプな俺を知ってか、
向こうからズカズカと週3ぐらい
たわいもない内容のLINEを送ってきた。
そんな初めの一言は大抵「ねえ!元気〜?」だった。
「元気だよ」「冷たっ😭」なんてとこから入るのが定番だった。
そんないつも煩いあいつからの最後のLINEは一年前。
「ねえ、ずっと元気でいてくれる?」
「? なにそれ?」
そんなやり取りが最後だった。
あれからあいつは俺にLINEを送ってこなくなった。
「なあ、お前からの通知が来ないと、元気になれないよ。」
墓の前で俺は一人呟いた。