八
秒
の
木
漏れ
日
半
日
目
の
初
秋
そ
の
窓
に
生
ま
れ
し
守
宮
の
そ
の
窓
に
て
首
を
振
上
ぐ
る
そ
の
目
台風が来るというのに玉葱は芽を出してるし最終話だし
視界の端に仄白いものが過った。あれ、と思うも束の間、今度は硝子戸のむこうにある隣室に灯りがつく。ぱ、と鳴る。人感センサーが反応していた。灯りが消え、間髪入れずに玄関の戸を外から掻く音がし、それも止んだかと思えば今度は天井裏に足音がある。その繰り返しである。懐中電灯を片手にそれぞれの部屋を巡るものの正体は掴めない。鳴り様が部屋によって変わるのだ。いずれも同時には鳴らぬ。だから同じものが鳴らしているように思われる。虫よりは重い。鳥ではない。けれども、各々の部屋の音の示す質量はすべて異なっている。鼠ほどのものを感じさせる音もあれば猫の立てるような音もあり、戸を掻く音は幼児の爪を思わせる。似たような話をどこかで聞いた気がした。鵺。ではこれは客か。そう呟いた瞬間すべての気配は止んで、それぎり何も鳴らぬ。
ま
な
ざ
し
を
捨
て
お
く
た
め
に
あ
る
月
が
天
頂
へ
立
つ
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