【愛情】
愛情
親に
兄弟に
姉妹に
恋人に
ペットに
周りの人達に
当たり前に与えられるもの
この世に生を受けて
すぐに与えられるもの
それが愛情
親子愛
友情
恋愛
家族愛
仕事愛
社会愛
たとえ、それが歪んだものだとしても
与えられるもの
それが愛情
しかし、行き過ぎた愛情は時に
相手を束縛してしまう
人付き合いの相手を選び
自分の言うことが絶対なのだと言い聞かせ
その人の行動や決定に干渉し
その人の感情やニーズを無視して
自分の理想を押し付ける
そんな人達は皆、口にする
「この子のため」
「大切だからこそ」
「自分の様になって欲しくない」
本当にその人のためを思うなら
変に干渉などせず
側で見守り
本当に必要とされた時に
助けてあげればいい
それが1番その人のためになる
【微熱】
朝、目が覚める
なんだか、妙に体が重い
体温計を取り出し、熱を測る
数秒後、ピピピ…!と音が鳴る
どうやら微熱があるらしい
何度か測り直してみたが
結果は変わらず
ベッドに戻る
最近、寒くなってきていたから
風邪でも引いたのだろう
微熱を自覚してからというもの
急に寒気が襲って来た
幸いだったのは
今日は特に予定がないということだろう
軽く朝飯を摂って
家に常備している薬を飲んだら
ベッドに入る
さっき起きたばかりからか
眠気はないが
こういう時は寝ていた方がいいのだろう
ベッドに入って
羊を数える
眠れない
ホットミルクを飲んでみる
眠れない
“もう寝ることを諦めて、
このまま、ただ時間が過ぎるのを
待つ方がいいかもしれない”
とさえ思えてきた
ただ時間が過ぎるのを待つ
静かだ
普段なら気にも留めないだろう
時計の針の音も
この静けさだとよく聞こえてくる
“明日には熱が引いてるといいな”
なんて考えながら
意識はだんだん落ちていく
【太陽の下で】
昔は太陽の下で遊ぶことが好きだった
かくれんぼに鬼ごっこ、虫取りも
とにかく外に出て遊んでいた
雨が降ったら仕方ないけど
部屋の中でお絵かきや折り紙をした
昔はあんなにも外に出て遊んでいたのに
いつからだろう
外より部屋の中で遊ぶことが多くなったのは
いつからだろう
友達と外で遊ぶより
ゲームの中で遊ぶ様になったのは
いつからだろう
ボールで遊ぶことも遊具を使うことも
禁止されてしまったのは
楽しかったあの頃をあの日々を
取り上げられてしまったのは
いつからだっただろうか
あの時はあの日々は
きっと、もう戻らないだろう
また、いつの日か
あの太陽の下、遊べる日が来るのだろうか
また、未来ある子供達が元気に走り回る姿を
見ることができることを願う
【セーター】
あの子のために
セーターを編む
あの子の顔を思い浮かべながら
セーターを編む
あの子が着るだろう
セーターを編む
寒い冬が来る前に
セーターを編む
一本の糸から
セーターを編む
おばあちゃんが
セーターを編んだ
毎年毎年、セーターを編んでは送ってくる
“余計なお世話だ”
“いらない”
なんて思ってしまうのは
悪いことなのだろうか
家には可愛い服が沢山あるから
おばあちゃんのセーターは
袋に入れてクローゼットの奥に閉まってしまう
“おばあちゃん、着てあげられなくてごめんなさい”
ある日、スマホが鳴る
母からのメールにはひと言
〔おばあちゃんが亡くなった〕
とだけ
私の中に後悔が込み上げる
“もっと連絡を取れば良かった…
もっと話せば良かった…
もっと…! ”
次々と後悔の言葉が溢れてくる
そんな私も結婚して娘ができた
おばあちゃんのセーターは
今は娘が着ている
私もこれを機に編み物を始めた
やってみるとこれが中々難しい
編めたと思ったら解けて糸に戻ってしまう
そして、一本一本編むごとに
おばあちゃんの凄さを感じる
おばあちゃんは編み物でなんでも作っていたのに
私は真っ直ぐ編むのが精一杯
少し不恰好になりながら
なんとか編み切る
少しは返せているのかな
【落ちていく】
秋から冬に
だんだん変わっていくこの季節
日が落ちるのも
だんだん早くなって来た
日が落ちて、月が昇る
また月が落ちていく
そしてまた、日が昇る
そうしてまた、今日という一日が始まる
“布団の中から出ることが億劫になる”
布団の外に出たくない、布団の中は暖か過ぎるから
布団の外に出たくない、布団の外は寒過ぎるから
そうして、毎朝、
布団の中にいたい自分と…寒さと格闘している
なんとか、布団を出て支度をする
そうして、学校に仕事に行く
今日も一日頑張ろう、帰れば布団が待っている
布団に入れば意識がだんだん落ちていく
夢の世界に行けば、
辛い現実を少しの間でも見なくて済むから