シン

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【セーター】
あの子のために
セーターを編む
あの子の顔を思い浮かべながら
セーターを編む
あの子が着るだろう
セーターを編む
寒い冬が来る前に
セーターを編む
一本の糸から
セーターを編む

おばあちゃんが
セーターを編んだ
毎年毎年、セーターを編んでは送ってくる
“余計なお世話だ”
“いらない”
なんて思ってしまうのは
悪いことなのだろうか

家には可愛い服が沢山あるから
おばあちゃんのセーターは
袋に入れてクローゼットの奥に閉まってしまう
“おばあちゃん、着てあげられなくてごめんなさい”

ある日、スマホが鳴る
母からのメールにはひと言
〔おばあちゃんが亡くなった〕
とだけ

私の中に後悔が込み上げる
“もっと連絡を取れば良かった…
 もっと話せば良かった…
  もっと…!        ”
次々と後悔の言葉が溢れてくる

そんな私も結婚して娘ができた
おばあちゃんのセーターは
今は娘が着ている

私もこれを機に編み物を始めた
やってみるとこれが中々難しい
編めたと思ったら解けて糸に戻ってしまう
そして、一本一本編むごとに
おばあちゃんの凄さを感じる
おばあちゃんは編み物でなんでも作っていたのに
私は真っ直ぐ編むのが精一杯
少し不恰好になりながら
なんとか編み切る
少しは返せているのかな

11/24/2024, 11:54:42 AM