あの頃のトークがまだ残っているから、開いて見てしまったら苦しくて、せつなくて、行き場のない寂しさに襲われる。
アイコン変わったね。
新しい彼女とのツーショット。
接点なくなるのが嫌で、友達に戻っても大丈夫ってウソついた。
でも、ライン繋がってるのが、今はクルシイ。
思い出に浸ってしまっては、前に進めないじゃん。
だから、今日も、開けないライン。
開かないライン。
翼があったらあったで
地に足をつけて歩きたいと思うだろう。
どこまでも欲深い私は
鳥のように自由にはきっとなれない
さよならを言う前に、うっすらと化粧をする。
あなたにもう、私への愛情がないのなら
せめて、いい女だったと思わせたい。
さよならを言われるくらいなら、
私からさよならを言おう。
さよならの決定権は私に譲って。
せめて、去り際のカッコいい女でいたいから。
さよならを言う前に、散々泣きはらした顔は
化粧なんて出来ないかもしれないけれど。
ほんとはさよならを言う前に
あなたをもう一度振り向かせてみたいけれど。
楽しかったことも、悲しかったことも
不思議と空模様を覚えてる。
上京し、入学式のあと、涙を我慢して母に手を振った日の夕方は、とてもきれいな夕焼けだった。
センパイと、初めて手をつないだ日の夜は、丸い月が浮かんでた。
別れを告げられた日の夜は、灰色の雪が舞っていた。
空模様は思い出を、より鮮明に呼び起こす。
それが、少しだけ切なくて、少しだけ苦しいんだ。
日当たりのいいリビングに座って、化粧をする。
そこの鏡にに映る自分が、一番キレイに見えるから。
そして、まだまだイケると自信をつけて、張り切っていざ外へ。
エレベーターの鏡に映る私は、悲鳴をあげたくなるくらいひどい顔。
疲れて老いて、浮腫んでる。
鏡よ、鏡、どの私が本当の私なの??
忖度なしで教えておくれ。
いや、まずどの鏡が正直者?!
……正直者の鏡はダイキライ。