さらさら
効果音をつけるとしたらこうだろうか
苦しい訳でも辛いわけでもないのに
気力や意力や感情が心から外へ流れていく
ただ無になっていく
友達に話しかけられても「へぇ」としか思えなくなる
友達の話は面白いし友達のことは大好きだけど
心が仕事をしなくなった私は
無に近い感情のまま静かに息をしている
君のことが嫌いになったわけじゃないんだ
どうか誤解しないでほしい
たまにこうなってしまう私でもいいのなら
さらさらと流されないような「友達」という分類に
私を留めておいてほしい
これが終わったら
これを完成させたら
数日ぶりに睡眠をとることができる
この業界で生きてきてはや10数年
最初は『期待の新人』と言う名目で注目されていたが
最近では話題作も作れない元期待の新人
と呼ばれているらしい
おまけに今年度から小説家になったのに
もう既に話題作を作ってしまった新人がいる
肩身が狭い...
「天才」と呼ばれたかった
何の取り柄もない自分でもできると証明したかった
ただひたすらに小説を書き続けるしかないのだと
それでもなお新人には劣ると
痛いほど現実が自分に刺さってくる
泣きたくてもなく資格なんてないから
泣いたってどうしようもないから
原稿の最後に句点をつけて布団に横たわった
わたしは人と話すことが苦手だから
話しかけれないし話せても会話が続かない
そんな私にも毎朝声をかけてくれたことが
とても嬉しかった
今日は君の誕生日だから名前を呼んでお祝いしたい
雨の日は外に出たくないと思ってしまう
好きな人が教室にいるとしても
湿気で髪がやばくなるわけでもないし
頭が痛くなる訳でもない
ただただ行きたくない
今日もそう思って登校した
登校した自分は偉いと自己肯定感を爆アゲて
友達に挨拶をした
部活が少し早く終わって
友達と他愛のない話をしながら歩いていた
合唱部の綺麗な歌声が聞こえてくる
青春って感じがする