パリン
大きな音を立ててマグカップが割れた
大切な人からもらった大切なマグカップだった
私の好きなアーティストとコラボしていて
とても気に入っていたのに
父親に割られるなんて
いつも仕事優先で私や母のことを
気にしたこともなさそうなのに
たいして話したこともないのに
父の日とか誕生日とか関係なく
感謝を伝えたことも
お祝いしたこともなかった
そんなどうでもいいとさえ思う人に
とても大切なものを壊された
私は怒りが抑えられなかった
父親と同じことをすることになるのはわかっていたが
止められなかった
バリン
先程よりも大きな音を立てて皿が割れた
母と父の名前が入っている皿だ
その皿が粉々になったのを見て父は涙を流した
私は泣いていないのになんで泣くの?
最初に割ったのはそっちだよね
破片を抱きしめて泣く父を見下ろして
怒りを我慢したが何故か涙は流れなかった
もしも君があの日にいなくなってしまわなければ
今日という日を2人で過ごすことができたのかな
今から2年ほど前に報道されたニュースで
地球は終わると言われていた
君は何を思ってその行動にでたのかは分からないけど
僕とても寂しかった
この2年間1日も満たされた気持ちにならなかった
僕の人生において君は必要な存在だった
後5分もすればこの惑星は終わるらしい
だから最後に日課である日記を綴っている
やはり君への思いが最後のページになったか笑
随分と色あせた表紙を閉じて
何年も書き溜めた日記帳を焼却炉に投げ入れた
口を開けばみんな各々言いたいことを話す
教室なんてもろにそうだ
まるで合奏を聞いているかのように
ガチャガチャとザワザワと
一見うるさいはずなのに
合わさると自然に調和している
その中でも一際大きく響いてくるメロディーがある
気になっているあなたの声が
他の人より少し小さくて高いあなたの声が
僕にはきちんと聞こえてくる
間接的じゃなくて直接聞ける日を
待ちわびながら5時間の準備をした
特別な人やものに対しての『好き』を生涯で
どのくらい言うのだろう
私は目の前にいる人に対して言うことが苦手だから
とても少ないんじゃないかと思う
おまけに恋人がほしいという願望がないから
ほぼ無いに等しいのは確実だろう
1度くらいは言ってみたいし言われてみたい
それ以前の問題が山積みなのは置いといて...
どこかのアイドルではないけれど
愛する人を見つけられたら
「あぁやっと言えた」と思うのだろう
私の限りなく少ない𝐼 𝑙𝑜𝑣𝑒 𝑦𝑜𝑢には
特別な意味と気持ちが込められてるんだと思う
クラスの人達が嫌いだ
陽キャだとか陰キャだとかは置いといて
生理的に何故か受け付けられない
なんでこの学校を選んでしまったんだ
最近はこう思うようになってしまった
上から3番目の進学校だが
私の成績なら1番は無理でも2番目には余裕で入れた
今更こんなことを言っても
仕方がないのはわかっている
この人達と同じようなレベルに
人の悪口を容易に言えてしまうような幼稚さに
染まりたくないとだけ
ただそれだけの感情が湧いてくるばかりだ
私みたいなのでも褒められてしまう
私のことを賢いと言ってくる人達が沢山いる
こんな非現実的な現実で脳が混乱しそうだ
だけど外面だけはいいから
ニコニコと屈託のない笑みをうかべて
今日もこのドロドロと腐った感情が
心を蝕んで行くのだろう
この心の一縷の純白さを確かめるように
雨の音が窓越しに響いていた