私の好きな人は画家だった
近所に住んでいた少し歳の離れた憧れの人
天才は短命だという決まりがあるのかのように
君は若いうちにいなくなってしまった
君が好きで君に憧れていたから
私も絵を描く仕事につきたいと思っていた
明日私は美大に行くためにこの地を離れる
最後に君のアトリエに訪れた
君が生きていた形跡はそのままだった
幼い頃に君にもらったスケッチブック
何年も使っていたからボロボロになってしまった
最後の1ページに
この場所にいる最後の日に
私は夢を描く
何度も何度も何度もあなたに好きだと伝えても
何度も何度も何度もフラれる
好きになったのは2ヶ月くらい前
その次の日から
何度も何度も何度も何度も
アプローチし続けてるけど
この思いは届かない...
でも諦めたくないから
何度だって君に好きだと伝えよう
木漏れ日が爽やかな昼下がり
風が強くて涼しい
木のそばにあるベンチでウトウトしていたら
前からめちゃくちゃ泣いている人が来た
心配になって声をかけた
どうやら失恋したらしい
残念ながら僕はそういう話に無縁だから
うんうんと相づちを打つことしか出来なかった
「何かあったらいつでも話を聞くよ」
僕にできることはこれしかないから
口から出てきた言葉に驚きつつ
まっすぐに君の目を見た
先程よりも弱い風が僕らの間をすり抜けていった
「ラブソングを聞いてとある人が思い浮かんだら
その人のことが好きらしい」
友達が教えてくれたが
あいにく好きな人が居ない
高校生にもなって初恋がまだなのだ
別にいいだろうと思う自分と
恋してみたいなと思う自分で軽く葛藤している
とか考えてる今日この頃
好きなアーティストがラブソングを投稿した
少し恥ずかしくなるような歌詞だったけど
めっちゃ良かった...
もう一度再生する
おかしいな...委員長の顔が浮かんでくる
なんでだろう?
靴棚に手紙が入っていた
めちゃくちゃ小さく折りたたまれていた
そっと開くと
それはラブレターだった
だけど宛先は俺じゃない
クラスメイトだった
ちょっと期待した自分が恥ずかしい
若干つらい朝の出来事だった