運命は、巡る。
たとえその出会いが別れになったとしても、物事に絶対はないから。
いつか巡り会える日を心待ちにしているよ。
黄昏の燃えるような紅い空を眺める。
普段は様々な色をしている街も一様に紅色に染められて、今日も静かに日が暮れる。
毎日のことなのに物悲しさと寂しさが徐々に押し寄せてくる。
「カエルが鳴くからかーえろ」
子供たちの声がこだまする。そして有線から響く蛍の光。
私たちもお家に帰ろう。そう思って私は足早に帰路についた。
きっと明日はいい日になる
明日は過去の自分が作り出していくものだから。
少し調子が悪かっても、その心意気がきっと明日の自分を救ってくれる。
でも無理しちゃダメよ。どうしてもその気持ちになれないとしたら、ゆっくりお休みなさい。
家へと帰る。
静寂に包まれたこの家は、一年前は人で溢れていた。
次第に皆が独り立ちしていって、残ったのは私だけになってしまった。
「ただいま……」
返事はない。当然わかってたのについつい言ってしまう。
うるさいと思っていたあの日々も、今は少し恋しいな。
「お前なんか、誰にも幸せにできない」
別れ際に放たれたこの言葉が、脳裏に突き刺さって抜けない。
幸せになれなかった腹いせなのだろうとは思うけれど、きっと私は幸せにできない不幸の存在なんだという呪いが解けない。
きっとこれは、一生解けることはないのだろう。
そう思っていたのに。
「いやそれ、あんた悪くないよ」
ふとした拍子で連絡が来た友人から、バッサリと言い放たれた。
「え……?」
「どうみても幸せにできなかったアイツが悪いじゃん!男のくせに捨て台詞とかなっさけな……とりあえずさ、アンタが幸せにできないとか、そういうの悩んじゃダメだよ。人は誰でも幸せにできるもんなんだからさ」
そういって友人はタバコを手に取り、一服した。
「……うん、気いつかわせてごめんね、ありがとう」
「この言葉が素直に受け取れないんじゃ重症だな。ま、アイツのことなんて忘れてパーッと遊び行こうよ」
私の発言を遮るような友人の言葉に、私は静かに頷いた。