本気の恋?
まあそんな言葉、よく言えますわね。
今度は本当にホントだから大丈夫だって?
いや、その言葉何回目よ。
はぁ、まあ、あなたのその恋多き所は見てて飽きないけども、失恋するたびに死ぬほど落ち込むのはおやめなさいね。あなた慰めるのはいつも私なんだから。
私の気になってちょうだいよ。
ま、そこまでいうなら頑張んなさいな。
私はいつも見てるからね。
「え、もうカレンダー貰えないんですか?」
驚く私の目の前に立っている新聞屋さんが申し訳なさそうな顔をした。
「ええ、こちらも不況でね……経費削減と相成りまして」
「そうですか……」
私は頷きながらも、少し残念な気持ちになった。
いつも実家の今のコルクボードには、新聞屋のカレンダーを飾ってたからだ。
シンプルかつかなり書き込めるようになっているそのカレンダーは、いつの間にか実家の象徴となっていた。
そりゃ最近は子供も独り立ちしていき、世間はスマホ主体のスケジュール管理になって書くことが減っていっていたが、無くなったらなったで、私はスコンと穴が空いたように寂しくなっていった。
「じゃあ買わなきゃな……あーあ、せっかくだし、可愛いの買おうかな」
私はため息をつき、文具屋へと出掛けていった。
……その先で推し(万年筆)に出会うのだが、これはまた別のお話。
好きであればあるほど、それを失った時の喪失感は計り知れない。
嫌で離れた筈なのに、いざ居なくなってしまうと胸が張り裂けそうな気持ちになる。
もう忘れたいのに。
明るい色の布地に、当時の流行りのアニメキャラのアップリケ。
少し不恰好なシルエットのそれを、いまだに私は捨てられない。
大人になったから着けるのが少し恥ずかしいけど、母が大切に家のミシンで縫っていたのを知ってる。
世界に一つだけの、大切な帽子なんだ。
踊るようなもの、というとお好み焼きの上の鰹節が連想される。
熱々の鉄板の上で焼かれたふわふわのお好み焼きにソースとマヨネーズを塗りたくり、〆に青海苔と鰹節をふりかけるとその上で踊るように揺れるのだ。
焼き上がってそれを切ると、ザクっとしたキャベツの食感と柔らかに包み込む生地とが油でツヤツヤと光って非常に食欲を唆られる。
よし、君たちもお好み焼きが食べたくなってきただろう。私もビールで一杯いきたくなったな。