黒板に、ふざけて書いた相合傘の落書き。
まさか本気にするなんて、馬鹿げてる。
でも、真剣な目で前から気になってたとか言われたら。
一緒に帰るくらいならしても……いいかな。
ぐらり、と視界が揺れる。
体のバランスを取ろうとして足を滑らせる。
途端、体が投げ出されたような上下感覚がなくなり、そのまま下へと落ちていった。
硬い地面は体を打ちつけ、身を投げ出したままそのまま暫く動けなくなる。
身体の端々が痛むが、頭がぐわんぐわんと鳴って判断ができない。
そのうち、周囲の人が救急車を呼んでくれたようでサイレンの音がかすかに聞こえてきた。
この間、転んで骨折した時の描写です。
「未来を知りたいか?」
願いを叶える精霊ははそう答えた。
「未来のその先にあるお前が、どんな姿でいたいか知りたいだろう?」
精霊はうやうやしく、しかしどこか自信満々に語りかけた。
まるで当然首を縦に振るだろうというように。
「知りたくない」
しかし、僕は首を横に振った。
「何故だ。今のお前は将来が不安ではないのか?」
精霊は意外そうに答えた。
「不安じゃないと言ったら嘘になるけど、だって、未来知れたら今生きるのがつまらなくなりそうで」
僕は拳を握り、精霊に向かって言い放った。
「僕は今を生きていきたいよ」
一年前
アタシの推しが燃えた。
いや、厳密には元推しというべきか。
女性関係だとかはどうでもよくて、それを受けてへらへらしてるような元推しのことが許せなかった。
そのうち存在自体が肯定できなくなり、アタシは好きだった時の自分を抹殺したくなり全てをシャットアウトさせて泣いた。
わかってる。
勝手に幻滅したのはアタシ。
推しは悪くないのだ。
あれから一年。
アタシは新たな推しを見つけたりして忙しくしつつも少しずつ立ち上がり、今日一日一日を生きている。
元推しは何事もなかったかのようにへらへらしていて、許せないこともあるけど、今はもうどうでもいいかな。
図書館に行くのが好きだ。
静かで、堂々と立ち読み、座り読みができてタダで本が読める。そんな夢みたいな場所で私は好きな本を思いっきり吟味する。
最近はネットで好きな作品を探して見つけて電子で買う、って人だらけなんだろうけど、それだけでは見つけられない本だってあるはずだ。
なにより私は、この空間の何とも言えない空気が好き。
だから私は今日も図書館に足を運ぶ。