今一番ほしいもの⋯それは自由に過ごせるひとりの時間。
結婚して間もない頃はスマホもなく、早く子どもが生まれないかと、ひとりの時間を持て余してた。
ひとりっ子だった私は、早くお母さんになりたくて、自分よりも早くに結婚して、早速ママになった友達を羨ましく思ってた。
友達が揃って、つわりが辛いだの、ひとりの時間がほしいだのというのを聞くたび、それは贅沢な悩みとすら思ってた。
でも実際に経験してみると、つわりは誰よりも重く、一人目も二人目も入院する羽目になった。
一人目を授かったときは、早く会いたくて会いたくて仕方なかった。
この時はまだ、赤ちゃんがあんなに寝かせるのが大変だなんて知らなかったんだ。
だって友達の赤ちゃん、みんな布団で良い子に寝てたんだもん。
赤ちゃんは飲んだら寝るものだと勝手に思ってたし、3時間ごとの授乳って大変そう⋯とすら思ってた。
それが実際に生まれてみたら、3時間ごとの授乳どころか、一時間に一回泣かれるし、飲んで寝たと思って布団に降ろすと泣かれるんだもん。心折れたよね。
一人目は何もわからなくて、助産師さんに言われるがまま。
2ヶ月でミルクも哺乳瓶もダメになって完母になった。
おっぱい星人で、何かあるたびにおっぱい。おっぱいが枯れて泣かれた日には堪らず一緒に泣いた。
それから6年後、二人目が生まれた。
二人目はメチャメチャ新鮮。
一人目のときに入院中になんとか添い乳もマスターしてたから、一人目のときほど寝るのには困らなかった。
二人目は一人目の経験を活かして、生後1ヶ月から混合の練習を始めて混合になった。
二人目は一人目の経験があるからか、うまい具合に手も抜ける。
それでも子どもが起きてるときに、子どもたちだけにして眠いからと言って寝られるわけもなく、掃除したいからと言って思うように捗るわけもなく、サッと買い物に行きたいからと言って思うように行けるわけもなく⋯
今一番ほしいものは、誰にも邪魔されないひとりの時間かな。
これまでずっと言えなかったけど⋯
いつからだろう?一人目が生まれて1年経ってから?その前かな?その後かな?
旦那が愛する人から家族になった。
ドキドキとかときめきがなくなって、ただただ大切な存在になったんだ。
居ないと本当に困る。良い意味での空気みたいな、充電器みたいな存在に。
1件のLINEって言われても、LINEにまつわる深い思い出はなくて、当時はEメール全盛時だったから1件のLINEではなくてEメールの話。
旦那との出会いはメル友。東北出身の彼が大学のために関西に来てた。
当時はメル友がブームで、たまに仲良くなったメル友とも会ったりしてた。
彼を知ったその時、私は既に三人のメル友がいて、もうこれ以上は増やせないと思ってた。
でも夜中の3時に携帯を開いて、どうしても彼からのメッセージが気になって、一度は閉じた携帯を再度開いて返信した。
それが最初だった。
当時は実際にリアルで会ったら終わりってことばっかりだったから、彼ともすぐに終わるだろうと思ってた。
まさか結婚するだなんて、この時は微塵も考えたりしなかったんだ。
遠距離だった頃…
愛する彼と一つの布団で一緒に寝て、目が覚めると彼の腕に包まれてる…
極上のひと時だった。
やがて彼と結婚し、一人目が生まれ、二人目が生まれた今は布団どころか部屋すら別で…笑
でも、それが今はとっても良い距離感で、今は目が覚めると一歳半の息子がすぐそばにいる。
愛すべき存在は愛の結晶となってここに居る。
母親と父親が居て当たり前だと思ってた。
食べたいときに食べたいものが食べられること。
トイレに行きたいと思ったときにトイレに行けること。
電気の明かり、窓から差し込む日差し、スマホもテレビも当たり前だけど眩しくない。
…………。
それが当たり前じゃなくなった。
結婚式から半年後、母親が亡くなった。
母親は当たり前のように、おばあちゃんになるものだと思ってたのに。
その二年後、第一子を妊娠。
つわりで入院。
食べたくても食べられない。
スマホもテレビも気持ち悪い。
それから6年後、第二子を妊娠。
入院再び。
電気の明かりが眩しくて、窓から差し込む日差しが眩しくて、スマホもテレビも眩しくて気持ち悪くて…
食べることも飲むこともできなくなった。
自分にとっての当たり前は当たり前じゃなかった。
失って初めて気付かされる、当たり前のありがたみ。すぐ忘れちゃうけどね。