【終わりにしよう】
『ごめん、他に好きな人ができた』
滅多に返事がこない彼からのLINEを見て、
いつかはこうなるだろうなって予感はしていた。
最近、お互い仕事が忙しくて会えてなかったし、
同棲する?って持ち掛けても曖昧に笑って濁してたし、
そろそろ私たちも潮時だったのかもしれない。
『……そっか。じゃあ、今日で終わりにしよう?
今までありがとう』
震える手を宥めながらなんとかLINEに返信して、
スマホを放り投げベッドに突っ伏す。
涙がシーツに吸い取られて染みになっているけど、
そんなの気にしていられないくらい
悲しくて、ツラくて、しんどかった。
貴方から別れを告げられるのが怖くて
私から言ってしまったけど、
貴方との楽しかった思い出が頭をよぎる。
貴方を想って泣くのは今日で最後にするから
思い出と共にこの恋心も終わりにしよう。
【手を取り合って】
小学生の時は、一緒に手を繋いで帰った。
中学生の時は、一緒に手を取り合って合格を喜んだ。
高校生の時は、都会に行く貴方を手を握りしめて見送った
そして、お互い社会人になった今。
貴方は私の隣で一緒に笑い合ってくれる。
幼馴染の貴方と結婚して〇〇年経ったけど、
これからも手を取り合って生きていこうね。
【神様だけが知っている】
「〇〇くん、送ってくれてありがとう!また明日ね」
「うん、また明日学校で」
自分の家に帰る彼を見送りながら、
彼が居なくなったのを確認し、
私はそっと自分の部屋に戻った。
〇〇くんと付き合い始めて1ヶ月。
初めてできた彼氏に照れながら手を繋いで帰った帰り道。手を繋いだぬくもりから、
ほんとに彼と付き合えたんだと実感が湧いて手が震えた。
「私、本当に〇〇くんと付き合ってるんだ…」
静かな部屋の中で一人、そっと呟く。
クラスで人気者の〇〇くんと付き合う為に
自分がやれる事は何でもやった。
彼が大人しい子が好きと聞けば、性格も直したし
彼が好きそうな仕草や行動をするように心がけた。
髪型もショートよりロングが好きと聞けば、
髪を伸ばして彼が好きそうな髪型を練習した。
メイクも自分が好きなメイクより、
彼が好きそうなメイクを練習したし、
洋服だって自分の好きなものより、
彼の好きそうな服を買った。
彼を好きになってから自分の「好き」より、
彼の「好き」を優先した。
嫉妬する女は嫌いと言っていたから、
彼が告白されても嫉妬しないし
明らかに彼に好意を抱いている女が
彼の体に触れていても、
見て見ぬ振りをしてやり過ごした。
彼好みの女になってから半年。
彼と話す機会がだんだんと増えて、
ついに、彼から告白された。
彼が好きなのは本当の私じゃないけれど、
彼のためだったら自分も殺せる。
これは、神様だけが知っている私だけの秘密ーー。
【この道の先に】
いつもと違う散歩道。
今日はこっちに進んでみよう。
この道の先にどんなお店があるのか、
どんな風景が広がっているのか。
自分が物語の主人公になったような気分で、
知らない道を進んで行く。
知らない道はわくわくするし、
新しい発見に足取りも軽くなる。
いい匂いがするパン屋さんを見つけた。
ひっそりと佇んでいる小さい神社にお参りした。
桜が綺麗に咲いている公園でお花見をした。
いつもと違う道を探索するのは勇気がいるし、
不安になるかもしれないけれど勇気を出して、
一歩踏み出してみよう。
きっと、素敵な出会いと新しい思い出が増えるはずーー。
【日差し】
春の、ぽかぽかとした微睡みたくなる穏やかな日差し
夏の、ギラギラとした肌を焼くほど痛くて激しい日差し
秋の、ふわふわとした少し肌寒さも感じる弱い日差し
冬の、キラキラとした綺麗な暖かさを感じる優しい日差し
一年を通して日差しの感じ方は違うけど、
貴方はどの日差しが好きですか?