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3/18/2024, 12:19:13 PM

【不条理】

人間は働いてお金を稼ぎ、衣食住の必要な物を買い揃え、生活を営んでいる。子どもは学校に通い、将来に繋げるため、勉学に励む。そして人は学校や会社、プライベートな付き合いの集団など様々なコミュニティに所属し、社会に溶け込んでいる。その為、相性の合わない相手ともコミュニケーションをとって協力する場面もある。
しかし、猫は日向ぼっこをして、自由気ままにのびのびと暮らしているイメージがある。猫は学校や会社に行かなくていい。人間のように相手の心の機敏を読むなんて複雑なコミュニケーションをとらなくても良い
なんて羨ましいのだろう… 猫になってみたいと思ったことがある。
だが、これらは私から見た猫への勝手なイメージである。猫からすると迷惑極まりない理不尽なのかもしれない。
それでも猫と比べてしまうのは、この世界が、この人生が不条理と感じるものに溢れているからかもしれない。
でもそんな不条理があるからこそ、猫が私にとって最大の癒しをくれる毎日だ。

3/17/2024, 12:24:27 PM

泣かないよ

「ないてなんかない…うぅ」
いじめっ子に言い返せず泣くばかりだった
そんな時に君は「やめなよ、そんなのかっこわるいよ」と言って僕を庇ってくれた
君の後ろに隠れてぶるぶる震えるしかできなかった僕
弱音を吐いて君を困らせちゃった事もあったね
でも君は笑って「わたしについてきて」と手を握って引っ張ってくれた
そんな君の強く頼もしい背中を追うばかりだった…
君は僕にとっての憧れだった

今や僕は君より目線が高くなり、泣くことも弱音を吐くことも減ったと思う
正面から君と視線を合わせることができなかった自分だけど、今ならば分かる
君はとても強いけど、弱い部分もある
小柄でただ普通の女の子
だから君が泣いてしまった時に、支えになって君の弱いところを守れる存在になりたい
「だからもう泣かないよ…君を守るために」

3/16/2024, 11:26:25 AM

怖がり

お化けは苦手だ。それなのに興味の方が勝ってお化けが出てくるアニメや絵本を見てしまう。それで夜中一人でトイレに行くのが怖かった。また怖がりな癖に強がって遊園地のお化け屋敷に入った。結局母親の手を握って泣きながら目を瞑っていたから全然楽しめなかった。そんなことがあった幼少時代。
今でもホラー系のものは得意ではない。だが、非科学的とかではないが、霊的な存在は信じている。妖怪やUMA(未確認生物)などの特集には興味があり、そんなミステリーはどこかで実在しているのではないかと思っている。私が生きている世界の知らない場所で不思議な生命体も同じように存在していると考えるとロマンを感じる。
怖がりな私は恐怖心よりも好奇心が勝ってしまう。
そんな自分の心も不思議なミステリーだ

3/15/2024, 11:53:35 AM

星が溢れる

『もう少し手を伸ばせばあの星に手が届きそうな気がする…』
少女はできる限り背伸びして夜空に一段と輝く星に手を伸ばした

私は勉強も運動も苦手だ。クラスにはとても可愛くて男子にモテる子がいる。他にも自分の夢を持って毎日頑張っている子を見ていると特に特技や趣味を持たない自分が惨めに思えてきた。そして胸に言葉では表せない悲しみが波となって押し寄せ、瞳からは涙が溢れた。この気持ちとどう向き合えばいいか分からなくなった私は衝動的に家を飛び出した。
気づけば星がよく見える丘に立っていた。幼い頃に亡くなった母がよく星を見に連れてきてくれた数少ない思い出の場所だ。
夜空を見上げると満天の星々が煌めいている。
『輝きを持っていない自分とは大違いだ…』
より一層気分が沈んだ気がして、星と比べてしまうマイナス思考の自分に自己嫌悪した。
だが、ふと遠く小さいけれどキラリと一段と輝きを放つ星を見つけた。昔母と見つけた星に似ている気がする。すると母との或る夜の記憶を思い出した。

「人はそれぞれ自分にしかない輝きを持っているの。そしてその輝きを磨くため頑張って生きている。人の一生は短いもの。寿命が尽きれば人の魂は星となって天(空)へ還る。でもそれが終わりじゃない。星となって今生きている人を優しく見守ってくれているのよ」

『なぜ今思い出したんだろう…』
幼かった自分には難しかったけれど、母の言葉が今の自分の胸にはじわりと響いた。先ほどまで胸に蓋をしていた悲しみの塊が少し溶けて消えた気がした。
もう一度空を見上げる。星たちは変わらない輝きを放っている。このまま悲しんでいたら今にも星が空から溢れ出して降ってきそうだなとあり得ないことを想像してクスリと笑った。この星たちは昔も今も変わらず、私たちを見守ってくれているのだと胸が軽くなった。あの星空の中には母もいるだろうか…
『そうだ、遅くなってはいけない。家に帰ろう…
明日からも頑張ってみよう』
ちっぽけな自分の挑戦が上手くいくようにと星に願って、誓った。そして家に向かって帰るために走り出した…

3/14/2024, 12:06:39 PM

安らかな瞳

幼かった僕を見つめるお婆ちゃんの優しい瞳を今でもよく覚えている。それがお婆ちゃんに対する最初の記憶だった。お手玉やめんこなどの昔遊びや学校でも習った戦時中のお話など長い時を生きてきたお婆ちゃんは色んな事を教えてくれた。どれも大切な大切な記憶だ。
去年寿命を終えて旅立ったお婆ちゃんは眠っているかのようで安らかな瞳だった。それがお婆ちゃんに対する最後の記憶だ。

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