『1つだけ』
一体、どれだけの末を見下ろして来たのだろう。
とうの昔に、その青い星に蔓延っていた生命体は突然として背中に爪を立てられてしまった。
私の覗く水面に斜に構える背丈の高く冷たい建造物がフレームインしてくる。
少し前、此処は艶やかな色で溢れかえっていた。だから私にも色があった。いや、色を見て覚え、染められていたといった方が正しいだろうか。私は構成され設定され制御された。数多もの色を学ばされた。
しかし、今となっては文明は若草色へと姿を変えてしまった。
私が学んだ色は一周回って不必要になってしまった。
花は咲いては枯れるもの。"彼等"は分かっていたのだろうか。
......
分かっていなかったのは私の方か。
この道中、動いて行きあった同胞等は片手に数えるほどであった。
他は、とても同胞とは呼べない姿をしてした。空いた片目から小さく芽吹かせていた者、何故か自身のコアを自分で取り出して自滅していた者、など...。
少し、怖かった。
結局、私の最後も突然だった。
右脚の神経プログラムに異常が出たのとログを伝播されて何のことか理解する前に、私は自分の影へと身を沈めてしまった。
立とうとしても立てない。その内手足が動かなくなった。
そうだ、最後にメンテナンスを受けたのはいつだろう。
いつから私は"彼等"に触れていないのだろう。
何故だか寂しい気がして手を伸ばした。
「A"、、、」
狭まりゆく視界に押さえたのは、ただ一つだけ、小さく咲いた名も知らぬ白だった。
『エイプリルフール』
今日はエイプリルフールだから、嘘をついてみよう。
なんてね
『待ってて』
あなたは私を待ってくれない。
だからあなたが「待ってて」と言ったからといって
私はあなたを待てるわけじゃない。
なのにどうして
どうして
私はあなたを待ってしまうのか。
『時計の音』
tick-tack... tick-tack...
The second hand is glaring at me.
Please don’t come tomorrow.
“Someone” who doesn’t know me seems to hate me.
This is reality.
...Good night, good bye.
『溢れる気持ち』
最初のうちは自覚症状はない。
何故なら私の場合ドバッと溢れるものではないから。
身体の芯から垂れ流れて、
足元に水溜りが出来ていることに気づいてようやく、
良くも悪くも固執していると、
気持ちが溢れていると、
自覚する。