小窓ノ旅人

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2/28/2023, 1:20:38 PM

「私ね、遠くの街へ行くんだ」

いつもと同じに思えた帰り道。
あなたがふとこぼしたその言葉が
信じられなくて、信じたくなくて。
少しの間の後、僕は聞き返した。
ただの聞き間違い、もしくは
冗談であることを願って。

「明日、遠くの街へ行く」

幼子をなだめるような、優しい声。
さっきよりもゆっくりと、はっきりと。
向けられたあなたの笑顔は
痛いほどに優しくて、かなしかった。

「私ね、やりたいことがあるの」

知ってるよ。知らないわけない。
ずっと、あなたを見ていたんだ。

「いつか、会いに来るよ。お互いやりたいことやれたらさ」

無理だよ。
だってあなたがいなきゃ
僕はなんにもできないんだよ。
あなたがいないと、僕は
やりたいことなんか、なんにもない。

「私がいなくても、もう大丈夫だよ」

あなたにはわかんないよ。
大丈夫じゃないよ。
あなただけが、光なんだ。

「私はあんたの神様でも太陽でもない。そして、あんたは月じゃない。やりたいこと、やれるよ」

僕のやりたいことって、なんだよ。

「やりたいこと見つかったら、手紙出してよ」

その言葉に、僕は頷いた。

あの日から2年と数ヶ月。
僕は遠くの街へ手紙を出した。

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「遠くの街へ」2023. 2. 28

2/27/2023, 11:05:08 AM

ほら、おいで? オヤスミナサイ!

難しいコトバ 苦いキオクは

たのしいオモチャ あまいオカシに!

ねぇ、ほら シアワセでしょう?

マシュマロみたい ワタシだけのセカイ

ココには コワイものなんて ないわ!

イタイ コワイ セカイなんて

もうやめて ココには イラナイノ!

すべて すべて わすれてしまおう!

ほら、はやく お茶会におくれちゃう!

ああ ホントウに ステキでしょう?


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「現実逃避」2023. 2. 27

2/26/2023, 10:50:30 AM

静かな夜は、空を見上げる。
夜も明るいこの街では、星は見えない。

この街の一番の暗がりは人間関係ね。
そこでも星なんて見えやしないけど。

そう呟いたら、君はなんて言ったっけ。

あの日この街を飛び出した君を
優しく輝く君の声を
眩しい君の笑顔を
私はもう、思い出せやしないわ。

大好きだった。
君のこと、大好きだった。

君は今、何をしてるの
そんなこと考えてやらないわ。

でも

君は今、輝く笑顔を
星に向けていられているかしら。
そうあって欲しいの、心から。


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「君は今」2023. 2. 26

2/25/2023, 10:59:07 AM

青空を隠す雲を見て考える。

君が青空みたいに笑っていた時は
いつだって僕の心までも青空だった。

物憂げな空に浮かぶたくさんの雲は、
君という青空を隠してしまった。


物憂げな空を見ると思い出す。

あの時瞬く間に曇った
青空みたいな君の笑顔を思い出す。


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「物憂げな空」2023. 2. 25

2/23/2023, 9:48:18 PM

「ねぇねぇ」

鈴の音みたいな声が響く。

『なに?』

っていつも通りに返せば、

「らぶゆー!」

ああ、文字に起こせって言われたら間違いなくひらがなで書くだろうな…
なんて、直接言ったらとても怒られそうだから黙っておこう。
そんな可愛い君に、僕の精一杯で、こう返してやるんだ。

『Love you』

そしたら君は、少しの間ぽかんとして

「なにそれずるい!発音良すぎでしょ意味わかんない!なんなの!?なんか負けた気分!腹立つー!!!」

って僕に飛びついてくる。
そして軽く言い合いをして、笑い合う。
こんないつもの時間を、愛している。


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「Love you」2023. 2. 23

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