幼い頃の記憶。
家族で旅行に行くときは、いつも夜遅くに出発だった。
父が現地まで夜通し運転して、母と私は後ろの座席で眠っていた。
眠っている間に到着…というのが両親の予定だったけれど、幼い私は深夜に出掛けるという非日常に心躍らせて、車が走り出しても眠ろうとはしなかった。
それでも、夜中に騒いではいけないという意識だけはあった。
隣で眠る母の邪魔をしないように、運転に集中する父の邪魔をしないように、窓にかけられたカーテンをそっとめくって、夜の街を眺めた。
昼間とは打って変わって車通りの少ない道、街灯だけが光っていた。
あの頃は夜更かししている人が少なくて、明かりの点いた家はぽつりぽつりとしか無かった…気がする。
それから少しだけ眠って、次に高速道路の単調なライトに目が覚めるのだ。
規則正しく同じ距離で等間隔に照らしてくる明かりにさえ、「ああ、遠くに来たんだな」と楽しさを募らせていた。
あの頃に戻りたい、とは言わないけれど。
あの頃の心を取り戻したい、とは思う。
『きらめく街並み』
内緒の手紙
過去の私から未来のあなたへ
この手紙をあなたが開くことがないといいけれど
そんなことも言っていられないから
あなたに内緒でしまっておくね
『秘密の手紙』
車で帰宅
家に入る前にワイパーを上げておく
冬が近づくと毎年恒例
『冬の足音』
『相手に喜んでもらいたい』
そんな気持ちから出た行動は素敵ですが
贈る貴方の気持ちも綺麗にラッピングしてあげないと
押しつけがましいだけのモノになってしまいます
『贈り物の中身』
夜遅くに道を歩く。
お供はお月さまと、その周りのお星さま。
きんとした冬の空気の中で、凍りついたように夜空に浮かんでいる。
そういえば、太陽から遠く離れた場所ではあまりにも寒すぎてなんでも凍るとかなんとか…と、うろ覚えの記憶が蘇る。
太陽が消えたら、こんな満天の星空のまま世界は凍ってしまうのか。
綺麗だと思う心も凍ってしまうんだろう。
『凍てつく星空』