ぜいたくに育ったわけでもないけど
1つだけ選ぶなんてよ…
この年齢まで覚えてきた事が有るからね…
難しい選択ですね……
1つ以外は、
全部ほうり投げて…
………
美佐子さんかなぁ…
美佐子さんです!
即答できない俺の弱さが有るから…
俺は彼女の男としてはまだまだ
半人前以下かなぁ…
さらに自分の高めないといけないね…
一番いい女に似合う男にならないと
いけないね…(笑)
あなたが見せてくれた世界がありました
その世界に触れたくて私は会いに行きました
まだ年端もいかない幼い頃の私は
あなたに憧れたのです
あなたのような大人になりたいと
あなたに憧れました
あなたは時には兄のよりも兄らしくて
あなたは時には父のように大きく暖かくて
あなたは時に優しく傷みに寄り添い愛に深くて…
幼い私が遠くに住んでなければ毎日
あなたの横で稲が育つのを見たかった
あなたが育てる稲と共に
大きくなりたいと思ってました
今も私は何も変わらずに
あなたのような大きくて暖かい人でいたいです
あなたに憧れた幼い頃と同じ気持ちでこの街で生きてます
あなたの背中を追いかけて…
……
刈りたての稲の海
広々と…
レールの響きが
眠りを誘う
出て来て良かった
小さな部屋から…
数えきれぬ迷いを振り切って来た
明日も揺れる2本のレールの上
しばらくは旅の美空 心ゆくまで…
つぶさに見る事はできなくても
時間をかけてこの手にする
明日も揺れるディーゼル車の中
窓辺にもたれたレールの響きに身をまかそう
レールの響きに身をまかそう…♪
車窓 来生たかお
鳥海山よ!!美しき大自然よ!!ありがとう!!
俺らの おどう(お父さん)は出稼ぎに出てる
おらの町は人口1000人にも満たない
小さな集落混在していた山あいの里
岡山市から西に70キロくらいとこだ
そう…
過去に混在していた山あいの町…
今は人口900人を来年にも割ろうかとしている
過疎かと高齢化がハイスピードで進み続けてます
町には仕事が無くて、おどうは出稼ぎに出る
今時、出稼ぎになんて…おかあ(お母さん)は…
勝手口で隠れて泣いてた…
僕たち兄妹はどうしたら良いかわからずに…
ただ母さんの手を妹と握った…
母さん…母さん、それさ大根の御味御汁だよね…
母さんの御味御汁は世界一だよ…♪
あたしはね…朝ね玉子を割ったら双子だったよ…♪
母さん!母さん…♪
母さんは…
いつもの母さんの優しい笑顔になって
僕たちの手を強く握り返して言った…
お父さんは笑って大阪に行かせてあげようね!
ジャガイモを蒸かす蒸気の向こうから
おどうの声がした
深雪 岳士 こっちゃ来い~!
おどうは驚いた顔して言った
ベフのお腹が大きいのは知ってたか?
ベフが?お腹?仔犬?……仔犬!!ベフ!!
岳士 深雪 おどうは来週の土曜日から遠くに行くから…
ベフがお母さんになるのを支えてあげてくれ!
頼んだぞ!
僕たち兄妹は正直な気持ちは不安いっぱいでした…
でも…
涙を隠して笑う母さんを思い出して…
おかあとの約束を守ると
今決めた…
おどう!まかせて!
深雪と2人で絶対ベフをお母さんにするよ!!
約束するよ!!必ずねぇ…!!
おどうはベフのお腹を擦りながら…
左腕で僕ら抱きしめた…
深雪が…
おどう…!痛いよ…痛い…
ごめんよ…ごめんな…
大きくなったなぁ、って思ってね…
母さん頼んだぞ、!!
そして、
おどうは優しく笑った…
おどうが大阪に行く日の朝、
僕ら兄妹は些細な喧嘩をした
僕は口をきかなかった…
おどうが…
玄関を出てく…
おどうの声が遠くに行く…
でも…
でも…泣かないって…
決めたし…
おどう…
おどう…風邪ひかないでね…
おどう…無理はダメだよ!
おどう…
おどう…
おどう…寂しいよ…ほんとは…
おどう…ほんとはねぇ…!!
深雪と喧嘩したのは…
深雪におどうを少しでも…
俺…お兄ちゃんだから…
ごめんなさい…おどう……
おどうを乗せた組合長さんの車の音も
遠くに…
もう聞こえなくなった…
おどう…
行っちゃった……
…
僕は慌てて裏山を駆け上がった!!
頂上近くから組合長さんの車が見えた…
おどう…
寂しいなんてもう言わないから!!
おどう!!おどう!!おどう!!
深雪とがんばるよ!!!
……
津軽平野に雪降る頃はよ
おどう1人で出稼ぎ支度
春には必ず おどうは帰る
土産いっぱいぶら下げてよ
寂しくなるけど なれたや
おどう…
お岩木山よ~
見えたか おどう…
津軽平野 吉 幾三
何が見える事が現実なのか?
何が現実なのか?
目を細めて見てますよ
君が笑ってくれるなら…♪
憂鬱な雨と月曜日
月曜日は定休日 休みの日 自由な日 誰にも邪魔されない日
朝からノーメイクでパンチェッタを食べに珈琲店へ向かう
珈琲店は駅から5分も歩かない場所にある
大型スーパーと複合しているビルの2階にある
私は休みの日に朝からガッツリと御飯を食べる
それが仕事への力の源でして…恥ずかしいけど…
とある日に…珈琲店が設備の故障で臨時休館日…
仕方なく近くの珈琲店を検索して…
歩いて30分で素敵な店を…
見つけた!ピザ窯で焼いたピザです最高です…♪
私は小躍りして歩き出したんです…♪
しかし…雨がパラパラしてきて…
コンビニで傘を買うか?タクシーに手を上げるか?
バスロータリーは仕事に向かう列が…
うーん…
どうしようか?
ビルの隅のエレベーターホール横で考えてたら…
珈琲の微かな匂いがしてきた
焙煎する音も…
これは面白い…
私は今日の休みを…
聴こえてくる焙煎の音と匂いへの好奇心に
気持ちを寄せてみた
ビルの壁にかかる螺旋階段を登ると珈琲の薫りがしてきた
四階?こんな場所に珈琲店?
珈琲豆だけの焙煎屋さん?
とりあえず薫りが誘う方へ奥へ奥へと…
そこには B型作業所 近ちゃんの店と…
へ…作業所?…福祉?施設?…
営業中だ…でもね…福祉の……美味しいの?……
帰ろ!…
そう思いエレベーターの方へ歩き出したら…
さらにパワーアップして薫りが…
うーん……お腹も空いてるし…
まぁ話のネタにねぇ…
引き返して店の扉を…開けた…
いらっしゃいませ!
どうぞ!
私はびっくりした…
ジャズが静かに流れていて、マイルデービス?
今は…朝だよね…?
夜のニューヨーク?マンハッタン?
私はキンガムチェックのクロスが可愛い席に座った
カウンターには古めかしいステレオと…
あれはオープンリール?懐かしい…
父が生前こよなく愛してたtechnicsのステレオと
JBLの古めかしいスピーカー…♪
壁には多数のレコードジャケットが飾られていて…
父の好きなスピーカーから私の好きな曲…
オサリバンのアローンアゲインが流れはじめた…
雨の朝には…♪いい選曲してる…朝…♪
先ほど…いらっしゃいませと言ってた声が
厨房の奥から近付いてきた…
あれ…この人も福祉の?……
マジにカッコいいけど…?
彼は短めの黒髪に顎髭で
ムーンライダーと背中に描いてある
ワイン色のアロハシャツと
黒いデニムを履いて…♪
彼は言った…
まだ時間が早いので珈琲と瓜の漬物しかなくて…
漬物?……瓜の?……
珈琲と漬物?……
思わず、笑ってしまった……
そして彼は言った…
ここは作業所なんです
福祉の作業所なんです
でもね…
何処とも勝負できる珈琲を焙煎しています
世の中の福祉に対する考え方は人それぞれですが
けして良い方へ向いておりません
作業所と知ると店を出てくお客さんもいます
それが福祉の日々ある現実です
ここにきて共に働く仲間はイイヤツばかりで…
障害って…言葉の意味を感じ考えます…
害って…何で?
文字を変える福祉の方もおりますが…
先ずは人改革しないと文字だけでは…
そう思い思考続けてます…
頭を回して回して…
朝から珈琲とぶぶ漬けなんですが(笑)
そして彼は優しく笑った…
こんな雨の日も素敵だと思える休みの日
雨の木曜日 朝から思考して珈琲 優しい笑顔
福祉の作業所…
今の私…
…朝
レイニースマイル レイニーハート レイニーマンデー
ギルバートオサリバン アローンアゲイン