山百合

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8/22/2024, 6:16:39 PM

・2『裏返し』

火曜日
しばらくは自宅にこもるつもりだ。
普通の人は普通に出社する時間だということは
意識しないようにする。

洗濯をしようと洗濯物をネットに入れる
ネットが裏返しでやり直し。

軽く掃除をする。脛をぶつける。

食べたいものがなくて
横になる。

【続く】

8/21/2024, 2:26:34 PM

・1『鳥のように』

月曜日、出社。
立つ鳥後を濁さず。

辞表を叩きつける……ではなく
自分のデスクを片して、上司に退職の旨を改めて伝える。
医師の診断書も添えて。
もう解放されたかった。

【続く】

8/20/2024, 1:39:14 PM

・3『さよならを言う前に』

私は一体誰なんでしょう。
婚約者の女は言う
「正体を表せ」

そう言われても。
それから雷鳴。
雨。どんどん強くなる。

瞬間、女は私の目の前で雷に打たれる。
沼で女が死に、沼で女が産まれる。
スワンプマンならぬ
スワンプウーマンだ

婚約者の女が甦る。
同じ女か?
それとも違うのか?

「さよならも言えなかった」
「あなたは誰?」

私は答える
「君の婚約者だ」

【終わり】

8/20/2024, 7:30:37 AM

・2『空模様』

次に婚約者の女に湿地に連れて行かれた。
幅の狭い木道を歩く。

湿地帯から沼地になったのか、わからない。
沼が見えてくる。

空模様がどんどんと怪しくなる。
雷が光る。 

【続く】

8/18/2024, 11:30:26 PM

・1『鏡』

私は誰なんでしょう。
真実を映す鏡の前に立ちました。
婚約者の女に引きずられて大きな姿見の前に女と立ちました。
鏡の前に立つとその者の本性が見えるそうです。
そこにはいつも通りの私が映るだけです。

【続く】

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