Eiraku

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11/8/2025, 3:25:58 PM

透明な羽根

「綺麗だと思うんだ。」
ある日、先生は言った。空飛ぶ鳥の羽が透けていたら、胴自体が何色でもない透明だったら、と。
「そうだったら、たぶん私は、一層鳥が好きになるだろうな。」

うわ、初めて透明になりたいと思った。

11/8/2025, 3:27:44 AM

灯火を囲んで


「嬉しいなあ。わたしこんなの初めて。
火のおかげで寒くないし、あなたの顔が見えるしね。」

寂しくもないなんて、こんなの初めてよ!

11/5/2025, 1:55:58 PM

時を止めて

時なんて止まればいい。
朝も来なくていい、ずっと夜でいい。
でも、夜は暗くて、ずっと一人。
朝は寒くて、みんなと会える。

いや、やっぱり時なんて止まればいい。
変わらなくていい、起こらなくていい。
ずっとずっと、このままがいい。

11/4/2025, 3:48:36 PM


「金木犀か…」

晴れといえば曇り、曇りといえば明るい、そんな中途半端な空の下。
先生は感心したように「金木犀」と呼んだ花に手を添える。
「綺麗だなぁ」
朱色で星形のそれは、薄暗く湿った土を華やかに彩っていた。
「私としては、花よりも…柿でもなっていてくれた方が嬉しいですけどね。」
それを聞くなり先生は、「風情のないやつめ」と口を尖らせた。


「懐かしい…」
私は、腰を屈めて金木犀を一つつまみ取った。下から上からと花弁を覗き込む。
「…やっぱり、柿でもなってくれた方が、嬉しかったのに。」
立ち上がり、夕焼けに浮かぶ己の影をきつく睨みつける。
乾いた土を、朱色の花弁が彩った。





「キンモクセイ」



11/3/2025, 2:25:43 PM


わかっていた。わかっていたはずだった。

貴方は私の横で、静かに寝息を立ててるはずなのに。起きたら、暖かい腕で私を包み込んでくれるはずなのに。
「おはよう」と、微笑んでくれるはずなのに。

今、私の横には、冷たくなった先生がいる。
わかっていたはずなのに。

私が涙で頬を濡らしても、先生はもう慰めてはくれない。涙を拭ってはくれない。
私を心配する声も、もう聞けない。

「先生…?」


行かないでと、願ったのに



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