10/5/2024, 4:57:56 PM
プラネタリウム、最後に行ったのはいつだっただろう
小学生の頃の校外学習
中学生の頃の遠足
高校生の頃の合宿
大学生の頃の旅行
思い返せば何度もあって、気付けば無くなっていた
愛していた星々は、成長とともに忘れ去られた
「あれが夏の大三角だよ」
小さなあの子が示してくれたそれは
少し違うものだったけれど
あの頃の煌めきは変わることなく
胸の中に残っていた
空をみて込み上げる熱さは変わらない
あぁ、もう一度、
もう一度あれを見てみたい
その目いっぱいに広がる銀河の海を
人の作った結晶を
10/4/2024, 2:41:58 PM
「お手をどうぞ」
差し出された手のひらに自分のものを重ねる
似合わない、気取った態度に口元をほころばせる
ドタドタと足を踏みならし、
映画のシーンを真似した
あの映像には遠く及ばないけれど
今だけは、ここが世界で1番のダンスホールだ
10/2/2024, 2:51:36 PM
「─── さん─── さん」
「教えてください」
やわらかな風がカーテンを押し上げる
隙間から漏れた光がコインを照らした
キラリと光るそれにぴったりとくっついた指はみっつ
知りたいことはひとつだけ
「─── さん─── さん」
「教えてください」
失敗したら入れ替わる
おまじないの怪異、おまじないに成った怪異
「─── さんには、どこに行けば会えますか?」
貴方に会える奇跡を信じて
9/29/2024, 1:39:21 PM
ジッと音がなって、火が消えた。
ゆらゆらとした淡い光は無くなり、
ツンとした匂いだけが漂った。
もうここに音が響くことは無だろう。
付ける音も、消える音も。
妙な節の入ったその声も。
放棄され、朽ち果て、
いつかは崩れて無くなるだろう。
営みの証だけを残して。