魔法
病を治す魔法があれば私はそれに縋るのだろう。ただそんなものはない。閑散とした暮らしにあるのは写真立て。家族が笑顔で写っている。そんな時もあったなと口元が緩む。
ふと、最近笑っていないことを思い出した。近頃同じ日常の繰り返しで、何か特別なことをした記憶もない。自分がどんな時に笑っていたか。漫才やコントを見ていた時、友人と話していた時など、次々と懐かしい思い出が巡っていく。
誰かが言った。笑う門には福来ると。
誰かが言った。笑顔はガンにも打ち勝てると。
誰かが言った。僕と一緒に笑ってと。
奥さんのためにチュチュを着て奥さんを笑わせた旦那さんを私は一生忘れることはないだろう。ただひたすら、1人の笑顔をためにバカできる人間でありたい。私は君を笑顔にする魔法なら知っている。私は板越しに君の名前を見つけた。
ひそかな想い
数年ぶりにあなたから連絡が来た。おしゃれで可愛らしいあなた。久々だからかその文面が可愛らしく、愛おしかった。私は約束を取り付けあなたに会う。
あなたは言った。「今付き合ってる人がいる。」
なんとなく、そんな気はしてた。クリスマスに予定があったり、バレンタインの作ったものに手が込んでいたり。私はもらっていない。そして今あなたはその方と、の付き合い方に悩んでいる。君がその方との今後の付き合い方をどう選ぼうと私はこの先の君の人生に幸せがあることを願っている。
ありがとう
生きててくれてありがとう
私と一緒にいてくれてありがとう
私の話を楽しそうに聞いてくれてありがとう
私が困っている時に手を差し伸べてくれてありがとう
笑顔のあなたをこれからも見続けたい
そっと伝えたい
桜の葉脈に沿って開いた穴から覗くように。ここから見える世界は小さくとも、あなたへの想いはこの穴から直線上に伸びている。か細くとも、聞こえなくてもいい。ただ狂い咲くことを許して欲しい。
未来の記憶
なんて持っているわけがなかろう。
まぁ、そんなこと言っても面白くないので私が思う未来の記憶の話でもしようか。
未来の記憶はなくても未来を思い描くことはできる。ただなんとなく、こうでありたいとか、この人といたいとか、逆に自分はこうなると決めていることもある。それは未来の記憶と言えるのではないだろうか。自分が思い描き、それが実際に叶った時。それこそが未来の記憶。今思い描く未来の私は未来の記憶となっているのだろうか。