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魔法
病を治す魔法があれば私はそれに縋るのだろう。ただそんなものはない。閑散とした暮らしにあるのは写真立て。家族が笑顔で写っている。そんな時もあったなと口元が緩む。
ふと、最近笑っていないことを思い出した。近頃同じ日常の繰り返しで、何か特別なことをした記憶もない。自分がどんな時に笑っていたか。漫才やコントを見ていた時、友人と話していた時など、次々と懐かしい思い出が巡っていく。
誰かが言った。笑う門には福来ると。
誰かが言った。笑顔はガンにも打ち勝てると。
誰かが言った。僕と一緒に笑ってと。
奥さんのためにチュチュを着て奥さんを笑わせた旦那さんを私は一生忘れることはないだろう。ただひたすら、1人の笑顔をためにバカできる人間でありたい。私は君を笑顔にする魔法なら知っている。私は板越しに君の名前を見つけた。

2/23/2025, 3:34:47 PM