0からの挑戦だった。
やったことも
知識もないけれど
映像で見て一目惚れした。
私はここで少し
視野を広げてもいいかもと思った。
将来の視野。
真っ暗で
行く宛てなんか無かった私に
少しの灯りをくれた映像。
人ってのは世界に何億といる。
その一人一人の人生の大半は
知られることもなく終わる。
私だってその一人のはずだ。
知られることのない人生なら
興味を持ったことをやってみてやろうと。
こんなに簡単に
人の人生は変わっていくものだと。
つまらない日常も
目指す場所ができたら
ちょっとは明るく見えた。
マシな生活、人間らしい生活。
挑戦するということは
とても楽しくなくて
面白くも、驚くことも
なーんにも無かった。
つまらない日常の隣に
灯りがあるだけだった。
手を伸ばしても
全部は照らしてくれない。
いつか消える光がそこにあるだけ。
"Good Midnight!"
それでも一部の人は
灯りを手にして
炎のように世界で燃え盛るらしい。
私とは無縁の話だったな。
挑戦したからこそ
無縁の話というのが
ちゃんとわかった気がした。
これはきっと
同情なんて
生半可なものではない。
哀れみなんて
見下すようなものでもない。
深夜というのは
夜というのは、
私を最大限まで見つめ直せる。
私は今何を思っているのか。
ノートに書くだけで
自己管理が出来てしまう。
そこから新たに紡ぐものも
また美しき。
日頃の疲れが私に嘘をつかせる。
まだ大丈夫。
お陰で私には
随分と寂しい思いをさせてしまった。
幼い頃の私は
現実をよく見ていた。
現実だけしか知らず
私は私なんだと芯を持っていた。
しかし同調圧力に潰されそうになった。
私は変わる必要があった。
あの子のように、この子のように。
他人の態度をよく見て
私はどうすべきかを考えるようになった。
結果的には同調圧力に押し負けた。
どこにでもいる、
へのへのもへじみたいな
通行人Aになった。
それからは
今自分が何を考えているのか分からなくて
怖かった。
ずっと私は私と一緒に
人生を歩んできたのに
思考が追いつかなかった。
"Good Midnight!"
深夜はそんな私も
通行人Aの私も救って
気持ちを見れるようにしてくれる。
北斗七星がどこかで輝くように。
色褪せて
乾燥した枯葉。
ぐしゃっと踏み潰した時の音が
少し気持ちいい。
最近暖かかったが、
今日は風が冷たく吹いていた。
枯葉がカラカラと飛んでいく。
冬っぽい日には
真夏の曲が聴きたくなる。
イヤホンをつけて
目を瞑れば
もうそこは夏の世界。
まさに「イヤホンと蝉時雨」。
寒い時は真夏の気温が恋しくなり、
暑い時は真冬の気温が恋しくなる。
この現象は
四季がある日本だからこそ
感じられるのか。
それか人とは
元々温度に恋しくなる生き物なのか。
ほーっと息を吐く。
手先は冷たい。
なのに夏は離れない。
音楽が暖かいなぁ。
包まれている感じがして
思わず泣きそうになった。
もう歳かねェ〜。
んふふ。
言ってみたかったやつ。
私ってば1人で何やってんだ。
"Good Midnight!"
夏に焦がれ、
蝉の声が響き
海の匂いが漂う世界へ逃げた私は
どうしようもなく夏が好きだ。
疲れた。
思うように言葉が出てこない今日。
面倒くさい友達との会話をする今日。
空気を読んで愛想笑いする今日。
はぁぁ〜。
1人になると
ふと
私はこうなりたかったんだろうか。
そう問いかけてしまう。
私では無い何かになりたくて、
どこか違う景色を見てみたくて、
変わろうとしたんじゃなかったのか。
結局元に戻って
ため息ばかりの今日。
私何やってたんだろう。
昔、不登校になった友達を思い出す。
1度学校に来なくなってしまうと
その子も
その子の親も
甘くなった。
学校に来るようになった時は
嬉しかったけど、
たまにムカつく休み方をしていた。
眠かったから親に言って
休ませてもらった。
なんか行くのが面倒くさくなってきて
休んだ。
サボった。
学校に来ても
ちょっとやそっとのことで
明らさまに元気を無くして、
自分が悪いから
今元気が無いんですって顔して
1日を面倒くさくする。
私は言ってやりたかった。
でもこのご時世。
言いたいこと言っちゃえば
その子の不登校気味は
私のせいになりかねない。
それに友達にそれを言うのはどうなんだと
言われてしまいそうで
ずっとムカついていた。
ねぇ。
あんまり小さいことで
いちいち悩みすぎると
これから先がしんどくなりすぎるよ。
まず親が甘くなってどーすんの。
休んでずっとゲームとかして
友達と遊んで
楽しいことだけやってないでよ。
私あなたの分まで
係やら当番やら
やってたんだよ。
なのにさ
なんでヘラヘラ笑って
おちょくってからかって
馬鹿にしてくるわけ?
心の中で
何度も何度も
その子の事を悪く言っていた。
ため息はさらに重く長くなる。
結局その子の前でも
空気読んだり機嫌取ったりで
その時の私と今の私は
本当に変わっていない。
"Good Midnight!"
黒い感情が吹き出して
ドロドロと流れ
苦しかった今日にさよなら。
お気に入りの場所で
お気に入りの本を読む。
けどお気に入りの
あの言葉は
どこかへ行ったままだった。
飲み物が美味しい。
でも心は落ち着かない。
毎日見てたはずの言葉。
毎日声に出していたかった言葉。
誰かから聞いたのではなく
自分で見つけた言葉。
大切にしたいものほど
日常に解けていて
ふとした時に無くなってしまう。
ここにある間は
大切には出来ない。
人というのはそういうもので
治すことができないのも
頭を抱える。
夜が好きだった。
特に真夜中。
明け方はその日が始まるから
大嫌いだった。
青、水色、藍色が映える深夜2時。
世界から隔離されたように
辺りはしん…としていて
涙なんか暗闇に消えてしまった。
お気に入りの言葉も。
思い出せないことが増える度、
底知れぬ恐怖が私に流れ込んでくる。
思い出せないのが怖い。
それにむず痒い。
覚えてたはずなのに
今はわからない。
そんな状態が鬱陶しい。
いつか私は
私のことも忘れてしまうのだろうか。
いや、そうではない。
そうなれば
もはやそれは私では無い。
"Good Midnight!"
酔いが覚めると
お気に入りの言葉は思い出せた。
そろそろ酒に溺れて夜を過ごすのは
やめにしないと。
そう思っていても
忘れたいことができると
また飲んでしまう。