もう一歩だけ、
あと少しだけ踏み出せたら。
鼓動が早くなって
汗をかくばかり。
緊張は何歩も先を行くのに、
私は動けないままだ。
炭酸が抜けたラムネみたいな
退屈でつまらなくて、
なんでここに居るのかすら
忘れそうになる。
そんな日々が始まろうとしてる。
足がすくんで家から出れない。
私ってなんで嫌なところに行くんだろう。
なんで縛られてるんだろう。
何も考えずに
じっと耐えれるようになるのは
だいぶ慣れてからだ。
始めはどうしても
行きたくない気持ちが溢れ出る。
"Good Midnight!"
背中を少しでも
押してくれる人がいれば
私はもう少し楽に
そのまま踏み出せたのになぁ。
見知らぬ街をいい気分で歩く。
今日の私は無敵だ。
冒険に胸を高鳴らせ
これからの毎日に
希望を抱いている。
キラキラ輝いてるんだ。
酒場では初めて会う街の人と
一緒に飲んで
バカ騒ぎとまでは行かないが、
盛り上がっていたり、
手から出る、この、
バフっとした風のようなものを
足元に打てば
少し飛べるということがわかったりして、
楽しい日々を過ごしている。
もちろん滞在する街は1つじゃない。
転々として
好きなだけそこにいる。
道に迷うのすら楽しくて
山を超えてしまったり、
たまに前行った街に戻ったりもする。
自由に、しかも徒歩で歩き回るもんだから
酒場では気ままな猫という名が
知れ渡っているようだ。
自分で言ってはあれなのだが、
私は中々の話し上手で
どの街でも気に入ってもらいやすい。
そのお陰で今ここにいると言っても
過言ではないほど支えてもらった。
"Good Midnight!"
旅に終わりなんかいらない。
楽しいこと、好きなことだけ
ずっとしていればいい。
このまま甘い蜜だけ
吸ってしまえば。
遠雷で猫がビビる。
この子はほんっとに
何歳になっても雷が怖いんだなぁ。
黒くて綺麗な毛並み。
暗い部屋から出てきたら、
暗闇から生まれた子みたいで
ちょっと可愛く見えるんだよね。
でもこの子雷だけは怖いみたいで
ぶるぶる震えちゃって。
なんで怖がるのか
知る時が来るなんて思ってなかったなぁ。
この子実は捨て猫で
私がたまたま拾った子。
何で知ったのかは
もう覚えてないけど、
どうやら前の飼い主さんに
虐待されてたみたいで
決まって雷がなった時に
殴られていたみたい。
虐待のことを教えてくれた人の推測では
前の飼い主さんが雷怖い人で、
自分が怖くて不安だから
猫にも自分を
わかって欲しかったんだろうって。
元からあった
自分の恐怖じゃなくて、
他人に植え付けられて出来た恐怖って
やっぱりいつまでも頭に残るもの。
この子はずっと
雷で部屋が光るのも
大きな音も
人も
怖かったんだね。
その時思いっきり抱きしめた。
そして思った。
私が雷を楽しいものにしてあげるって。
おもちゃでお祭り騒ぎしちゃおうって。
"Good Midnight!"
なんでこうなったんだろう。
なんで前の飼い主さんに
あの子を奪われてしまったんだろう。
捨てたくせに。
1度手放したくせに。
虐待してたくせに。
やりきれない思いが
今日も渦巻いて眠れない。
この真夜中は
まさにMidnight Blue。
暗くて黒くて
なのに青くて綺麗で。
Good Midnight!の意味って
Midnight Blueに似てる。
いい真夜中をって意味なんだけど
推しにコメントを読まれて嬉しかったり、
1日を充実できて幸せだったりした人は
もちろん、
今日何か嫌なことがあって辛かったり、
過去の失敗とかをふいに思い出して
自己嫌悪に陥ったり、
最悪な思いをした人も
この真夜中だけは、
私の創作物語や
文章を読んでくれている時だけは、
綺麗な青を見ていて欲しい。
いい真夜中を過ごして欲しい。
そんな思いが詰まってる。
私が勝手に思いを詰めてるだけだけど、
私がGood Midnight!を
この物語や文章に使おうと思ったのは
好きな漫画に出てきたからだけど、
それでもどこかの誰かの真夜中を
いいものにしたいと思った。
救おうとまでは思ってない。
救えないものの方が多いから。
これからいつまで続くか分からない。
私は飽き性だから
飽きて突然辞めるかもしれない。
それでも、それでも…。
"Good Midnight!"
「書く習慣」を始めて1年。
まだまだいい真夜中を過ごし続けたい。
羽根を怪我した
オオワシの君。
私の家の前で寝そべってたから
手当てしてしばらく
私は君を家に置いておいた。
君は飛べないから、
くちばしを器用に使って
私を手伝ってくれた。
朝起こしてくれたし、
ご飯を作る時に
必要な物を取ってきてくれたし、
私が寝る時はいつも横で寝てくれた。
野生のオオワシって
こんな簡単に人に心を開くんだなぁと
少し勉強になった。
何のための知識か知らないけど。
私は夜が怖かった。
でも君となら怖くない。
君は鋭いくちばしと眼差しを持っているし、
治りかけの羽根も持っている。
それだけで
私は君となら何でも出来る気がした。
だから君の羽根が治った時は
野生に帰すのが寂しかった。
元々の環境に帰してあげるのが
一番君のためになるのに。
君も私と離れるのを察したのか
何かを目で訴えた。
数ヶ月一緒に過ごしたから分かる。
うん、そうだね。
こんなクソみたいな私の世界から
君が居なくなっちゃったら。
君が居なかった時、
どうやって生きていたか
もう分からないんだ。
"Good Midnight!"
大きな羽根を広げた君は
いつにも増して
かっこよくて可愛く見えた。
私は君に手を差し伸べる。
君はヒヅメの生えた足で私の手を取る。
私にも大きな羽根が生えたみたい。
月が輝く真夜中、君と飛び立つ。