君と僕でこの世界を変えよう。
画面から聞こえてくる声。
主人公が手を差し伸べていた。
けど
世界なんてそんな簡単に変わらないし
ヒロインだって
一人でいたい時もあるだろうし、
ここは故郷を思い出してたシーンだから
寄り添う形が良かったのに。
でもヒロインは手を取る。
うんって
希望に満ちた顔をこちらに見せる。
違う違う違う違う、
違う違う違うじゃん。
画面を閉じる。
もしかしたらヒロインは
主人公からの言葉が嬉しかったのかもしれない。
それでも!
それでも私は…。
主人公と合わないアニメはいくつかある。
でも一応次回作に期待はする。
妥協できないところは
とことんできないけど。
"Good Midnight!"
私の中心には
いつもこの言葉。
人生ほどほどに。
余裕に余裕を重ねて
ゆるーく歩くこと。
文句があるならお前が死ねよ。
ムカついた時
一番最初に思いついてしまう言葉。
流石に口にはしない。
このまま息を止め続けれたら。
悲しくなった時
一番最初に思いついてしまう言葉。
流石に行動に起こしはしない。
感情は一人で突っ走っていっちゃうから
自分で手綱を引っ張って
制御しなきゃいけない。
なのに私は引きずられてばっかりで
最初から手網を引けたことは一度もない。
振り回されたことも多々ある。
たとえばそうだな、
死にたいってずっと思ってたくせに
死にそうになったら
死にたくないって思っちゃうとか、
眠い時に寝れなくて
寝たくない時に眠いとか。
気ままで走ったり
急に止まったりするから
困るし何より身体が持たない。
手っ取り早くストレスを解消しようとして
色々手を出した。
食べ放題、ガラクタ集め、
ヒトカラ3日連続、映画鑑賞、
そして極たまに
ストレスの原因を潰す。
でもダメだった。
どれも最初の数日しか効果がなかった。
私はただご飯が食べたいって思ったり
思いっきり叫びたいって思ったりするだけなのに。
酒なんか飲まなきゃやってられない。
いつもよりペースを早め
胃に適当に流し込んでいく。
こうしたら
眠たくても眠たくなくても
寝れるから。
"Good Midnight!"
ぐるぐるの視界で
いざ、幸せの夢へ!
時計の音が鳴り響く部屋。
風と時計の音しかしなくて
驚く程に静かな部屋。
新生活というか、
ただ前の住居とそんな離れてないところに
引っ越しただけというか。
前は年中風鈴を付けてたから
これほど静かじゃなかったんだけど
今は風が当たるところに
付けれるのがないから。
4月になると
入学式やら進級やらなんやらで
電車はすごい人。
今年も4月は家でゴロゴロに決まり。
連絡を返すためにスマホを手に取ると
ふと
フクロウに似た人のことを思い出した。
仲が良くも悪くもなかったけど
なんとなく連絡先を交換した。
特に会話はしてなかったけど、
少し前に店を出したらしい。
雑貨屋か何かなんだと。
久しぶりに会うのもいいかなー。って
思ったけど
やっぱり人が多い外に出るのは…。
最近は寒暖差がすごいって感じるから
温度調節も難しいし
また今度にしよう。
お昼に冷凍パスタのナポリタンを食べて
うとうとし始めて。
"Good Midnight!"
フクロウに似た人、元気かな。
桜の雨が振る昼頃
寝っ転がりながらそう思った。
2週間後ここで会おうって待ち合わせ?
そんな遠い約束忘れちゃったなぁ。
世渡り上手で面倒な事は
全部とぼけたフリをする私の友達。
本当は友達なんて言いたくない。
一緒にいたくもない。
2週間なんてすぐそこなのに、
ていうか2週間後がいいって言ったのは
そっちなのに。
言わなくてもいいことを言わないっていうのは
辛くてきつくて
ちょっと力を緩めたら
泣いちゃいそう。
だから引っ越すって聞いた時は
すごく嬉しかった。
今すぐにでも連絡先を消して
まっさらにしたいくらい。
眠いのに寝れなかったこと
お腹が空いてるのに食べれなかったこと
全部ストレスのせいにしてた。
でも瞑想したら寝れるようになったし、
ひとくちずつゆっくりなら食べれた。
私の行動が甘いだけ。
じゃあ友達のことを嫌っちゃうのも
私が甘いだけ?
私が頑張って変われば
友達を好きになれるの?
2、3歩進んでまた戻る。
ここから4歩目まで進むのは
不可能だと思ってた。
"Good Midnight!"
自分のことをわかってやれるのは
自分だけなんだ。
だから好きになるのも自分だけでいい。
その分自分にちゃんと、必ず返ってくる。
そんな考えが生まれてきたから
友達のことを好きでも嫌いでもない、
自分が大好きな私が完成した。
4歩目からのスタートだった。
フラワーショップのウィンドウに
白いレースのカーテンがありまして、
店主さんは何を思ったのか
花屋さんなのに
そこに本を置き始めたんです。
それもあまり知られてないものばかり。
たまに昼寝をしに来る猫もびっくりです。
いつも入ってくる窓の前に
ズラ〜っと本が並んでいるのですから。
なんというか
店主さんは少し変わった人で
いらっしゃいませと
値段と
ありがとうございましたくらいしか
話さないんですが、
いつもお店は面白いです。
毎日内装の雰囲気が代わってて、
可愛かったり
ミステリアスだったり
ごちゃごちゃしてたり。
そしてそのお店にある花も面白くて。
造花みたいに枯れないんです。
けど初めて来たお客さんが
疑って1輪花を買って調べたんですが
造花じゃないってちゃんと出たんです。
少し話がズレるのですが、
それからそんなお客さんが
面倒くさかったのか、
店主さんはその造花じゃない証拠を
窓ガラスに1枚貼っていて
ふふっと笑ってしまいました。
路地裏にある訳じゃない、
むしろ大通りに面してるのに
そこにあることを意識できない
花が人を選ぶフラワーショップ。
"Good Midnight!"
本を並べたのは
花に人を選びやすくさせるためだそうです。