逆立ちはできないけど
いつも逆さまでぶら下がってるみたいに
ふわーっと生きてた。
寒くなってからお風呂に入るし
眠くなるまでスマホ見るし。
座った時に長い髪が床に着くのを
ずっと待ってた。
流石にそんなぼーっとしてても
楽しく生きれないわけで、
とりあえず自分が好きそうな絵柄の
漫画を探すけど、
売ってるかどうかはまた別で。
来年の2月発売とか
ちょっと先のものばかり。
いつもなにか
ここにない感じがして。
上手くいい表せないけど
きっと私は
人生の大半を寝て過ごす
だらしない生活を送る人になるんだろうなぁと。
そんな中出会ったのは
ぽっかりと空いた胸の穴を
埋めることができないとわかった日々だった。
そりゃあ
宇宙の謎とか
そういうのに全てを賭けたら、
熱心になれると思うし
つまらない人生は送らないはずだ。
でも足りない。
違うんだよな。
愛情でも、食欲でもないのは
とうに分かりきっている。
じゃあ他に何が…?
そんなことを考え始めたらキリがない。
頭が痛くなってくる。
だから今日は
"Good Midnight!"
今日こそは幸せを掴んでやるんだ。
ふーっと息を吹くと
飛んでいってしまうシャボン玉。
大体のシャボン玉はすぐそこで
割れてしまうけど、
私が今まで見てきたシャボン玉の中で
1番飛んだのが1つあった。
そのシャボン玉は
風に乗って屋根より高く、
ふわーりふわりと
空へ飛んでいった。
街灯よりも高く高く上がって、
割れて帰っては来なかった。
なんであんなに飛んだのか
眠れないほど考え込んだ。
でももしかしたら
シャボン玉もなんであんなに飛べたのか
わからないかもしれない。
もう1回あのシャボン玉に会いたくて
毎日シャボン玉を飛ばした。
もちろん全てすぐそこで割れてしまった。
そんな中、
私はある映画を見た。
割れないシャボン玉と
割れるシャボン玉が
街中に飛ぶ映画。
その映画を見てから
私は1日に2回シャボン玉を飛ばした。
影響受けすぎ、
お金の無駄って思われるかもしれないけど、
大丈夫。
私はこの目で見たから。
空に飛んで帰ってこなかったあのシャボン玉を。
ちゃんとずっと覚えてるから。
"Good Midnight!"
明日もシャボン玉は割れてしまうかも。
でも何故か悲しくはないんだ。
それは多分あの映画の結末のせい。
ポッキーを頬張ると
ほっぺがふくらみ、
リスみたいになった。
可愛いは女の武器ってのは
よく聞くけど、
弱さを武器にする女は
よくないと思う。
バカに見られるのが屈辱じゃない?って
言いたいところだけど
無知は何よりも心強い武器になるから
なんとも。
とりあえず人は1つ武器を構えなきゃ
すぐいなくなるってこと。
じゃがりこもサクサクと
口いっぱいに詰め込み、
もごもごしながら食べる。
充電はいつも50%。
人に使うのはたった10%でいい。
それ以外は使わなくていい。
その10%もお菓子で補充。
だから常に疲れずにいれて
お菓子も食べれて
武器も持てる。
忘れっぽいのは内面だから
どうにもできないけどね。
周りに誰もいなくなったら
それはもう
漫画を読む絶好のチャンスってわけ。
"Good Midnight!"
なんて、
昼に不相応な言葉から始まるこの言葉。
私は大事にしたいと思う。
今日の心模様もいい天気になりますように。
降り注ぐひょうは、
夢と現実の間に挟まってるみたいで、
とても驚いた。
2年前に見た映画が忘れられなくて
もう1回見たいと思ってた。
多分あの映画は
私の中の死ぬまでに見たい映画ランキング
1位かもしれない。
ストーリーも絵柄も大好きで、
パルクールが出てきて
ちょっとかっこよくて憧れる。
映画見た後だと
自分にもパルクールできる気がしてくるけど、
骨折する未来も見えた。
私は動きも話し方もゆっくりだから
早い判断と行動が必要なパルクールは
きっと向いてないんだろうな。
コンビニにミルクティーを買いに行っただけなのに
近くにできたケーキ屋さんから
すごく美味しそうな匂いがした。
中に入ると大きいホールケーキが目に映る。
流石に小さいのにするか、と横を見ると、
ショートケーキ、チョコケーキ、チーズケーキ。
どれも美味しそうで
お腹がぐるぐると音を立てた。
結局全部買ってしまった。
食欲には正直でないとね。
朝からひょうが降っていたから
てっきり物凄く寒いのかと思っていたが
構えていたほど寒くはなく、
むしろ過ごしやすい気温だった。
ミルクティーを飲みながら
チョコケーキを食べて、
映画を見る。
これ以上に幸せなことってある?
お気に入りの作品はいくつかあるけど
やっぱりあの漫画には1歩及ばないか。
"Good Midnight!"
から始まる、
8月に出会ったあの漫画。
まだ半年しか経ってないけど
流石に何年かしないと
この漫画は越えられない。
ただそれは物語面での話。
どんでん返し系や
1巻目から読者・視聴者を騙してくる系、
そういうのが大好きなのだ。
あの漫画はそういう要素は一切ない。
だから近いうちに生まれてしまうかもしれない。
まあでもその時は
今朝のひょうみたいに
潔く撤退して
ちょうどいいラインを守ろうかな。
うちの星では
地球に行けるのは
選ばれた人だけ。
帰ってきた人はいない。
そりゃそうだ。
地球とは距離が離れすぎている。
ワープ機能を使ったとしても300年はかかる。
それでも行こうとするのは
空気があるから。
うちの星では空気はすごく高い。
限りがあるから。
しかし地球では
ほぼ無限に近い沢山の空気がみられる。
今年もそろそろ終わるというのに
今回の地球行きは
私に決まってしまった。
もちろん拒否したが
絶対に行けと偉い人に言われた。
心残りもないし、
特にこの星に思い入れはないが、
強いて言うなら姉かな。
決まった時に泣きわめいて
私に抱きついてきた。
シスコンだからなぁと思いながら見ていた。
振り払うのも面倒だった。
どうせ地球行きが決まったところで
もう死ぬとわかっているのだから。
出発当日。
さよならは言わないで
またねって言ってと
鼻水を垂らしている姉に言われた。
私はまた明日、
"Good Midnight!"と言い、
この星を去った。
私の完璧な技術により、
ワープの年数を改造し、
あっという間に地球についた。
流石に何もせずくたばりたくはないからな。
しかし姉がこっちに来るまで待っていると
無駄死にしそうだ。
もしそんな事があったら
転生装置を作っていた方がマシだなと
手を動かした。
招かれた人しか行けないところに
私のコピーロボットを置いておく。
姉は温和で穏やかな人だから
フクロウに似た人にでもなりそうだな。
しばらく私は長い休みをもらった。