暗くなるのが早くなってきて、
寒くなってきた。
冬になったら
この街はどんな風に変わるんだろう。
雪景色が広がるかもしれない。
湖が凍っちゃうかもしれない。
冬限定のポッキーが出てくるかもしれない。
そんなことを考えながら
くしゃみをして
ズルズルと鼻をすする。
寝ようと思って入った布団は
冷たくて、
毛布もひんやりしていた。
電気を消してから
スマホが辞められなくて
ブルーライトが
目を覚ましちゃう。
嫌なことばっかりでも
朝は来ちゃうし、
寝なくても
日付は越えれちゃう。
そんな息が詰まるような中で
暗闇の中で
スマホの画面に
そっと指を触れたら
ぱっと光って、
目を照らして
明日を遅らせてくれてるような気がして。
それでも睡魔には勝てなくて。
"Good Midnight!"
夜更かしは楽しいし
好きだけど
寝ないのは体に良くないからね。
睡眠万歳!
ニコイチの動物のぬいぐるみ。
手が磁石でくっつくようになってて、
いつも手を繋いで
可愛いぬいぐるみだった。
でも1つどこかで落として、
探し回ったけど
どこにも無くて、
泣きながらベンチに座ってた。
あの子と
はなればなれになった
この子は
寂しそに磁石がついてる腕を垂らしていた。
見つけてあげたかった。
この子にとって
あの子はトクベツだから。
あの子でいいんじゃなくて、
あの子じゃなきゃダメだから。
結局隣の県まで来ちゃって、
自販機で飲み物買って
また探し始めた。
疲れて、
疲れて、
でもこの子の隣を
埋めてあげたいから。
いつの間にか寝てて、
公園にいた。
霧が出てて、
前が見ずらかった。
ふと、
ポケットに重みがあると思って
見てみたら
この子とあの子が磁石でくっついて
手を繋いでた。
よかった。
見つかったんだね。
もうはぐれないでね。
あの子のお腹には
"Good Midnight!"
って書いてあった。
楽しかったようでなにより。
危ない目にあってなくてよかった。
ほっと安心した朝方、
ホットケーキを。
隠すものは選んだ方がいい。
好きなお菓子や
宝物を隠すのは別にいい。
でも生き物は隠したらだめ。
大雨の日。
傘が意味ないくらい
風も吹いてた。
子猫の鳴き声が聞こえて、
ベンチの下を見た。
黒猫がいて、
すごく震えてた。
家に連れて帰ったけど
母は猫アレルギーだから、
押し入れに隠した。
晩ご飯を食べて
すぐ眠くなったから寝てしまった。
起きてからもずっと
他のことに精一杯で
子猫のことなんか忘れてた。
何ヶ月か経った頃、
押し入れを開けた時に見たのは
子猫の悲しい骨だった。
押し入れの内側には
爪で引っ掻いた後がいくつもあって
申し訳なかった。
私が拾ったばっかりに、
忘れっぽいばっかりに、
子猫はこの世からいなくなった。
泣くにも泣けず、
晩ご飯ができたと呼ばれた。
今日の晩ご飯はとんかつだったけど、
なぜか猫の肉に見えて、
一口食べると涙が溢れた。
母は理由を聞かずに背中をさすってくれた。
こういう人だ。
すぐ忘れると思う。
でも
化けてでもいいから
出てきて欲しいと
謝りたいと思った。
"Good Midnight!"
数日後にはもう
子猫のことなんか忘れていた。
名前もつけてなかったし
思い出なんかなかったからだと思う。
秋風が寒い今日。
ふぅ〜っと飛ばしたシャボン玉は
すぐそこで割れてしまった。
ケンタッキーの骨付きを取り出し、
豪快にかぶりつく。
シャボン玉もこの骨くらい
強かったらいいのになぁと
空を見上げながら思った。
すぅーっと息を吸う。
冷たい空気が鼻を通り
肺に入ってくる。
少し目を閉じて開ければ
もうそこは夜。
さっきよりも肌寒くて、
暗くて、
月が綺麗。
遠くの方では
建物の明かりが
船の提灯の明かりみたいに
キラキラ光っている。
シャボン玉を飛ばす前、
テスターで付けたハンドクリームの匂いが
まだ手の甲に残っていて
甘いものを食べてる気分になる。
ありがとうとか、
命の恩人だとか、
言われても
中身がなかったら
結局離れていくものだと
急に思いついた。
今日はなんだか
音楽を聴く気になれない。
イヤホンは
こういう音楽を聴かない時でも
持っているだけで安心する。
びっくりドンキーに入って
フライドポテトのスパイシー味を頼む。
前まで辛そうだと思ってたけど、
コンソメ味みたいで美味しい。
最初は熱いから
ケチャップを付けて食べる。
味に飽きてきた頃には
もう冷めてるから
そのままの味を存分に楽しむ。
"Good Midnight!"
酔っ払ったみたいに
ふらついた足取りで
家まで帰る。
途中、
男女が口喧嘩してるのを見かけた。
秋風の悪戯かな。
紅色のリップを塗り、
丈が足首より少し上の
歩きやすいドレスを着て、
お城の舞踏会へ向かう。
と言っても、
私は踊りを楽しみに来たのでは無い。
銀髪の少女を連れ去るように言われたのだ。
まずは少女に近づいても怪しまれないよう、
仲をそこそこ深めることにした。
"Shall we dance?"
と言って少女と踊り、
そこから雑談などで
馬が合うように仕向けた。
あまり一緒に居すぎると
良くない気がしたので
フラフラ歩いて
適当な人と踊った。
途中、
黒髪の少女が
別の部屋へ移動するのが見えたが、
頭の片隅に置いておいた。
そして20時頃、
銀髪の少女の飲み物に
あらかじめ睡眠薬を溶かしておいた
白く濁った液体を入れた。
直後、
後ろから青銀髪の少女が
銀髪の少女の手を掴んで
庭へ連れていった。
追いかけようとすると、
ちょっと待ってくださる?
と、
黒髪の少女に引き止められた。
別の部屋へ連れられ、
アナタ、銀髪の子の飲み物に何かしたでしょう。
流石に不自然過ぎたか。
ここら辺の人だと
気づくのもよくわかる。
だが黒髪の少女は
戦闘力が低そうだ。
このまま逃げることもできる。
選択肢がありすぎて気が抜けた。
…何も言わないのね。
銀髪の子ね、私の知り合いなのよ。
聞いてて心地よいこの少女の喋り方。
私は黙秘を続けた。
まあいいわ。
今度しっかり聞くから
また会いましょう。
来るわけない。
だって私は
青銀髪の少女と別れた銀髪の少女を
直接眠らせ連れ去った。
連れ去るように言った人に引き渡し、
何ヶ月か監禁すると言われたので、
銀髪の少女に変装をして
予定をこなした。
毎週舞踏会へ通っていたのは
正直驚いたが
それ以外はまあ大丈夫だった。
ウィッグを外し
寝る前のこの時間が
1番私だと思いながら
眠りについた。
"Good Midnight!"