隠すものは選んだ方がいい。
好きなお菓子や
宝物を隠すのは別にいい。
でも生き物は隠したらだめ。
大雨の日。
傘が意味ないくらい
風も吹いてた。
子猫の鳴き声が聞こえて、
ベンチの下を見た。
黒猫がいて、
すごく震えてた。
家に連れて帰ったけど
母は猫アレルギーだから、
押し入れに隠した。
晩ご飯を食べて
すぐ眠くなったから寝てしまった。
起きてからもずっと
他のことに精一杯で
子猫のことなんか忘れてた。
何ヶ月か経った頃、
押し入れを開けた時に見たのは
子猫の悲しい骨だった。
押し入れの内側には
爪で引っ掻いた後がいくつもあって
申し訳なかった。
私が拾ったばっかりに、
忘れっぽいばっかりに、
子猫はこの世からいなくなった。
泣くにも泣けず、
晩ご飯ができたと呼ばれた。
今日の晩ご飯はとんかつだったけど、
なぜか猫の肉に見えて、
一口食べると涙が溢れた。
母は理由を聞かずに背中をさすってくれた。
こういう人だ。
すぐ忘れると思う。
でも
化けてでもいいから
出てきて欲しいと
謝りたいと思った。
"Good Midnight!"
数日後にはもう
子猫のことなんか忘れていた。
名前もつけてなかったし
思い出なんかなかったからだと思う。
11/15/2024, 11:36:29 AM