モンシロチョウ
シロツメクサに紛れて、都会の海をわすれる。
故郷の空気と花を思い出して。ヒトの鼻先にとまってみせる。
エイプリルフール
今年こそ誰かを騙してやろうと意気込み、休みであるにも拘わらず朝に起きた。
まず、どこまでが道徳に反しない嘘なのかを考える。嘘をつくにもかわいらしい嘘をつきたい。
実は結婚してました〜とか?ありきたりすぎる。
資格試験に合格しました!とか?嘘だなんて悲しすぎるね。
明日から恐竜に乗って出社します、とか?随分と可愛らしい。
空からうさぎさんがたくさん降ってきた!?とか?キャッチされなかったうさぎさんはどうなるんだ。
実はあなたのことが好きなんです♡とか?そんな弄ぶような真似はしたくない。
そもそも私には嘘をつく相手がいないじゃない。
午前が終わった。
寒さに身が染みて
朝。布団から身を起こし、火を起こし、やかんを傾けてコーンスープの素の入ったマグカップに湯を入れる。熱くて、ほかほかで、焼いた食パンといっしょに食べたら、きっとおいしい。
身支度を終えて、外に出る。湿り気のない空気澄んだ空気と、冷たいドアノブ。手袋をしていると、鍵がかけづらくなってしまう。息が白く映されている。今日は雲一つない青空だというのに、まったくさむくってやり切れない。
想像しよう。今はやっとあたたかくなってきた春。
カーディガンを着て、外に出ると、あたたかな空気と、希望と、ほんのすこしのさみしさ。桜と緑と、外を駆け回るきいろいぼうしをかぶった子たち。クロワッサンの売店。
帰りにスーパーに寄って、シチューの材料を買うの。にんじんと、じゃがいもと、鶏肉と、あと…玉ねぎ?
お家に帰ると、どうしてもあの澄んだ空気に魅了されて、今日はベランダで食べようかなと考える。
雪
雪。
しんしんと降り積もる。
でも、私が住んでいる地域は、あまり降らない。雨と混ざって、雪になりきれない雨が、悲しげにぱらぱら音を立てて傘にぶつかる。
たまに積もっても、すぐ溶けてしまう。きっと、都会の匂いが合わなかったのね。かわいそうに。あなたは海に帰るべきよ。