NoName

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1/29/2022, 11:14:13 AM



私ね。この人の歌う、バラードが好きなんだ。




僕は意外そうな顔、していたと思う。

ロックじゃなくて?と、聞き返した。




うん、バラードが好き。

君がこの人の歌、聴き始めたきっかけも

話してくれたね。








聴いた。カセットテープ。

あまり期待していなかった、なんだこれは。

いくつか馴染みの曲より。バラードがいい。

君の言った通りだ。前奏、かっこいいね。






教えてくれて、ありがとう。

君をまたひとつ、知ったよ。






アイ・ラヴ・ユー、OK














1/29/2022, 4:57:52 AM



薄明かりの部屋

電話の着信、君の名が表示される




僕∥はい、もしもし。

君∥出てこれない?




しばらく、沈黙






耐えられないのは

たいがい、こっち

君は我慢強い、作戦だろね(笑)


僕∥わかった。待ってて。

君∥ありがとう。




寒いよ、まったく

寝るところだったのにな






いつだったかな、まだ白い車の頃



助手席、眠そうな声で


君∥遠くへ行っちゃうと、困るんだよね
待つの好きじゃないから。



運転席、甘ったるい缶コーヒー

誤魔化して飲み込んだ


僕∥じゃあ。一緒にくる?



言えるわけない





白いため息の先

君がぽつんと、見える

空、見上げ

星、数えて




切ないよ、まったく




長くいすぎたかな、この街に



置いていったら君は、立ち尽くすだろう

幼い妹のように

壊れてしまうね、じっと下をむいて

押し黙るように





離れられないわけ、言い訳


ひとりぼっち、ふたりのまち