薄明かりの部屋
電話の着信、君の名が表示される
僕∥はい、もしもし。
君∥出てこれない?
しばらく、沈黙
耐えられないのは
たいがい、こっち
君は我慢強い、作戦だろね(笑)
僕∥わかった。待ってて。
君∥ありがとう。
寒いよ、まったく
寝るところだったのにな
いつだったかな、まだ白い車の頃
助手席、眠そうな声で
君∥遠くへ行っちゃうと、困るんだよね
待つの好きじゃないから。
運転席、甘ったるい缶コーヒー
誤魔化して飲み込んだ
僕∥じゃあ。一緒にくる?
言えるわけない
白いため息の先
君がぽつんと、見える
空、見上げ
星、数えて
切ないよ、まったく
長くいすぎたかな、この街に
置いていったら君は、立ち尽くすだろう
幼い妹のように
壊れてしまうね、じっと下をむいて
押し黙るように
離れられないわけ、言い訳
ひとりぼっち、ふたりのまち
1/29/2022, 4:57:52 AM