NoName

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7/12/2025, 10:48:06 AM

風鈴の音


チリン、チリン
見上げると鉄器から下がった短冊が
はためいている

ガラスじゃない、
鉄器の風鈴

手作り体験で作ったやつ

ガラスの風鈴の軽やかで涼やかな音とも違う
澄んでいてどこまでも遠く
風に連れていかれそうな音


チリン、チリン
鉄器の風鈴

店先に吊るされた、
珍しいな
そう見上げる
今も実家で鳴っているはずのあの音

たまには、聴きに帰ろうか

7/12/2025, 2:05:36 AM

心だけ、逃避行


此処を去ることはできない
捨てるには、
余りにも大切なものが多くて

君が何よりも大切。
なんて
言えたらいいけど

キミもおんなじ

できないよね

だから、今だけ

繋がった手
閉ざされた六畳一幕

この時間だけは
二人のもの

7/10/2025, 1:32:00 PM

冒険


古い、古い、
香ばしい香りのする濃い茶色の柱
キシキシと音を鳴らす板が並ぶ廊下
その廊下には黄緑の庭がよく見える大きなガラス戸

広くて何間も続く畳の部屋
使っている部屋、
座布団を置いてるだけの部屋、
いつも線香の香りがする仏間

夏に訪れていた祖母の家

たった一軒の家
端と端のある家

不思議と、どこかに繋がってるんじゃないかと
歩き回ったあの夏

冒険の終わりは
いつも祖母の膝の上

今はもうないあのダンジョン

7/9/2025, 1:30:50 PM

届いて....


もう貴方はそこにいないかもしれない
多分、いないと思う

宛先不明で返ってくるであろう手紙を
それでも一縷の望みを託してポストへと入れる

配達員さんに無駄足を踏ませてしまうかもしれない

ごめんなさい

でも、いま、

ようやく私は貴方に
この手紙を出すことが
できた

7/8/2025, 1:16:45 PM

あの日の景色


あの日の景色を忘れない
真っ赤な夕暮れで
紅く紅く
でもそれは決して毒々しくはなく
泣きたくなるような美しい夕空だった

貴方の血潮を吸い上げでしまったかのように

きれい、そう溢れた言葉に
私は泣いた
貴方がいる空は
最後の眩しい一線を残して
宵闇を連れきた

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