背中にアスファルトの温もりを感じる
「あー…」
声
振動
手をゆっくり持ち上げ空に手を伸ばす
この 空模様 だと 明日は 雨かなぁ
会う 約束 してたんだけど な
力が抜け手が地面にばしゃりと落ちる
「 」
ああ もう 聞こえない
振動だけが 身体に響く
ごめん ごめん
暗くなった視界の端で赤い ひかり が ちらつく
しんどう
なんだろう おまつりかな
つめたい ぜんぶ こおりのよう
いま どこにいるんだろう ねむいな
いえのふろーりんぐかな
よるのうみのあさせかな
いっしょにいった もりのなかかな
わからないけど
きみがよこにいればいいのに
きみがいるならどこでもいいのに
あ
もう
あめがふってきたみたい
なんて あたたかいあめ
くらい うみ
つめたい みず
あしが すなに つつまれる
だれも いない
くらい うみ
ずっと これをのぞんでた
うかぶ からだ
きれいな ほし
きれいな おと
ぜんぶ ぜんぶ かんじるよ
いまから わたし
うみに なるの
走って 走って 走って
自転車に乗って知らない町までたどり着いた
知らない家の角を曲がり
知らない店の中を覗き
知らない公園を横切る
もう二度と帰れないんじゃないかという
不安と共に 気持ちが高揚する
このまま 永遠に迷子のまま
全てを捨てて 忘れて 漕いで 漕いで
自分の事を 誰も 知らない世界に
連れていって どうか
ああ
心の健康を保つには
自分にも 他人にも 期待しない事
ネガティブな言葉のように思えるけど
驚くほど人生が楽になる
無価値って 素敵なの
上手くいかなくたっていい
この思いが伝わるのなら
私のこの燃えるような想いが
息を吸い込み 止める
私の足音に気が付いた彼が振り返る
「 」
瞬間 ありったけの想いを 刺しこむ
伝える 伝える 伝える 何度も
私の想いを受け止め倒れた彼を見下ろす
広がっていく彼の一部
あんなに上手くいかなかったのに
最後には上手くいった
想いを受け止めてくれてありがとう