あのねって言葉の続きをまた見失って
髪を乾かしてくれるひとがいなくなっただけって
そう思うことにしたんだ
あのさって言葉の残りはもう砕いて
いいカノジョのまま終わりたいなんて猫かぶって
結局空回りして薄くなる
17cm高い君の後ろ姿
追いかける私の言葉
髪質も猫の下もどうだっていいだろうけど
たった4文字だけ待って掴んでほしい
大好き、
さよならを言う前に
「さて、今日はどんな色にしようかな〜…」
ぽとりと呟きながら絵の具を混ぜる。
群青色をベースに、微かに紫を感じられる淡く爽やかな色が浮かび上がった。
満足して、雲の入ったガラス瓶に手を入れる。
久しぶりにグラデーションの雲にしようと思い立ち、
薄紅色から朱色まで、鮮やかな色々を乗せる。
そして、どこまでも続く広大なキャンバスに筆を滑らせ、仕上げには雲をそっと浮かばせた。
うん、今日も最高傑作。
空模様
ねぇ先生、
自分の見た目を知る術がなければ
私たちは人の容姿を羨ましがることは
なかったのでしょうか。
鏡
ニュースが流れるテレビ
味の薄い夕食
広すぎるセミダブルのベッド
静けさみたいな霧に覆われた部屋
慣れたはずの生活に
いつまでも違和感を覚えている
頭にしがみついている歌を口ずさみながら
甘さを忘れたココアを作る
明日になれば忘れるかもしれないし
明後日になれば新しい何かに期待を寄せるかもしれない
半年経っても、思い出はこんなに綺麗なままだけど
いつまでも捨てられないもの
ある時は叫びたくなる
青く澄んだ空の下、どこまでも見渡せそうな丘の上で
ある時は王冠をかぶる
立派な玉座にちょこんと乗って、周りを見下して
ある時は与えられる
自分も知らなかった自分のすてきなところを
一番大切なひとに褒められて
ある少年は言った
「僕は、今は刑務所にいる父のことを誇らしく思っています」
彼にとっては、父親はたった一人の理解者だった
誇らしさ