何もしたくない休日の朝。
アラームが鳴らない静かな部屋。
ゆっくり起きて朝日を浴びる。
この瞬間が一番好きだ。
まだ寝ていようかな。
永遠に。

理想郷って何かと問われた。
少し考えて、よくわかんないと返事をした。
｢お前、理想ないのか」
｢え？」
友達に呆れられた。

祖父が亡くなったため、遺品整理していたら、家族写真と共に若い頃の祖父の写真が出て来た。
数年前に亡くなった祖母曰く
あの人は昔からイケメンだったから、よく女の人に絡まれて困ってたわと嬉しそうに笑っていた。
そんな話を飽きるほど聞いたっけとふと懐かしく思う

図書館で借りた本はファンタジーものでとても面白かった。
しかし、知っている。
この話にはもうひとつの物語があるということを。

夜もすっかり更けて来て、彼女は俺の温もりを求めて隣に来た。
｢向こういけよ。ベッドあるだろ」
｢一人じゃ心細い」
腕に手を回して、彼女はすりすりして来る。
猫かよ。
やがて、暗がりの中で俺にだきついて来た。
｢あったかーい」
｢ベッドから落ちたらどうすんだ？」
彼女はえへへと笑う。